幼児期
遅くなってごめんなさい。
捕まえた幌ウサギの首を削ぎ落とし、逆さに吊り下げて血抜き、腹を斬り裂いて臓物を引摺り出した後、皮を器用に剥ぎ取り……グロ 、子供のすることなの、これ。
「今日の肉、ゲットだぜ」幼稚園児の台詞ですか、それ。
「じゃスティ、早速、解体して部位ごとに区分しましょう」五歳時の発言じゃないよね、これ。
スティに続き、無邪気なリナ。
リナはギルドのムードメーカー、彼女の明るさにはいつも助けられている、戦死した、戦友達の時の皆の落ち込み様は酷かった、から……ん?。
でも、戦死した戦友って、誰なんでしょう? 思い浮かべれば、浮かんでくるのは当たり前なのですが、顔すら出てきませんが、実感だけあるのって、違和感が有りすぎて、変な感じだよ。
ねぇ、作るならもう少しちゃんとした物をお願いしますよ、神様、でないと、私達が大変な目に合うだけなんだけどさ。
投げ槍ってのか、いい加減なのかは知らないけどさ、これで接しろって無理があるんだけど、わかってるの。
そこら辺どうお考えなんですか、製作者の皆さん……返事なし。
いっその事、記憶を元に戻しちゃおうか……な。
……しばらく考えた。
じゃあ、早速準備しよう、と。
まずは、他の神々に邪魔されない様に魔法で防御壁を作成して、と。
ん~、え~と……呪文、知らないや、ぬりかべ~、とか? カーテンコール……でも、ないか……あ、もしかして、これとか、フッと浮かんだのが、ブラインド・ホース・シールドだった。
これかな、唱えてみれば分かるか【ブラインド・ホース・シールド】発動した。
おぉ、凄い、部屋一面に無色透明のブラインドが、仄かに蒼白い光を放ち出現した。
壁の上部に設置され一斉に閉まった、スズージャン音まで、ご丁寧に再現されている、うわ~、て、感じです。
天井と床はカタカタ言って閉まり始めるし、音が煩い。
皆は「なんだ?」「え? なに?」回りをキロキロしてるし。
犯人私です、驚かせてどうもすいません、心の片隅で謝った。
これじゃ、一人をターゲットに記憶の操作なんて、出来ないし、時間を止めるしかないか、時間よ止まれ、し~ん、て、発動しないじゃんか。
思い付く限りの言葉を言ってみた。
時間をストップ……止まった時間……針を動くのを止めなさい……スリーピングタイム、時間を寝かせてどうすんだ。
駄目だ、発動しない。
あ、もしかして、これかな?【コールド・タイム】皆の動きが制止した。
おお、すご、なにこれ……て、私も動けないじゃんか。
あ、動けた、さてと、やりますか。
この時、私は重大な事を忘れていた事に気が付いた。
リナの幼児期時代なんて知らない事に、どうしよう……。