狙われた、ウンディーネ
妹、二人がギャーギャー言っていますが、レムとドリアートに任せて、私は放置します、え? だって、私悪くないもん。
平謝りしてますが、許す気がまったくない御様子です、この後、最終的に泣き付かれる羽目になるのですが、大分後の事です。
それ以前にですね、私の目の前、二つの魔方陣が残った訳なのですが、なにやら燻っています。
黒い煙が渦を巻いて立ち昇ろうと、今か今かと燻り続けている、それにしても蛍の様に魔方陣は強く弱く光を放ち、誕生を急がせるいるかのように、だが、なかなか出てきません。
突っついて見様と屈んだ瞬間、漆黒の闇が吹き出してきた、光をまったくと通さない、色濃くそれでいて綺麗な黒だ、不純物が混ざっていない、純粋な黒でも、恐怖は感じない、それよりも暖かみさえ感じさせる。
広がった闇は人形へと圧縮された瞬間、頭部からツブツブ粉末が流れ落ちて行く、光沢ある黒髪は光りを浴びると、艶やかな光を反射する。
可愛らしい少女が顕現した。
あ、逃げた、私のお尻にしがみついた、小さな手がなんて初々しいこと、皆が居なければぎゅってしたくなってしまいます。
シルフが、どんな仕打ちをされたのか見ていた御様子で、出てくるのを渋っていたみたいです。
「ブルートー、そんなに怯えなくても大丈夫だよ」
「ほんとに? レイラレスカ様、守ってくれるの?」右ストレートパンチ、ノックアウトです、反則です、ブルートーちゃん、そんな顔されたら、私の心は折れて終いそうです、うぅ~ここは我慢です、我慢しなくては、皆と一緒になってしまいます、耐えるんだ、私。
あ、引いてるよ……ごめんね、ブルートーちゃん。
忘れていました、もう一人、噴水がいつの間にか立ち昇っているじゃんか……。
水の精霊ウンディーネ、ご登場シーンを見逃すところでした。
無色透明の水柱が、もう人の形を型どっている。
ん? あれ? なんか変だよね、ねぇねぇ、ウンディーネさん、何を嫌がっているんですか? 頭部から蒸発していく水が上がったり下がったりを繰り返している。
いやぁ、なにか喋っているのですが、水に覆われた状況で口パクされてもさぁ、何を言ってらしゃるのか、分かりませんよ。
「ウンディーネ、いいから姿を現しなさい」
諦めたのか、落ち込んだよ、愕然と肩を落としてしまった。
何がそんなに嫌なのか、さっぱりです。
嫌々感が半端ないんですけど。
再度頭部から蒸発し始める、白髪が薄い水色掛かり、白い美肌が露になって行くにつれて? ん? ベルベッセの目の色が変わった? ウンディーネの顔を見た瞬間、目の色がハートになりましたよ……え? えぇ! あの紳士で、表情が堅かった、あのベルベッセがウンディーネをガン見してますけど、大丈夫でしょうか?。
あ、ダメみたいですね、鼻息が荒い、ブフゥ、ブフゥって聞こえてきます、ちょっと怖いかも……。
ウンディーネの全身がベルベッセに眼に飛び込むや否やウンディーネの前に即座に移動した。
「ひ、一目合った時から決めておりました、お付き合いください」ネルトンかい、右手を差し出して、停まりましたよ。
「ちょっと、まったー!」トーサカと勝元が手を挙げた。
モテモテですね、ウンディーネ……泣きそうな顔で、私に助けを求めないで下さい、嫌なら断ればでいいじゃんか、なにが、駄目なのか、さっぱり、分かりません。