アテナ
そりゃね、見も知らないおばさん達に囲まれてたら誰だって驚きますよ。
召喚された時のシルフの顔ったら、無かったは、目を開いたら度肝を抜かれる光景が広がっていれば、誰だって拒絶してまします。
召喚の挨拶する前に逃亡態勢に成っていたし、よっぽど嫌だったんでしょう、無我夢中でフェンリルとイフリートの所を目指してたから。
ほんと、チミタチ、どんな顔して襲い掛かったのさ……。
「レイラさんや、変顔選手権でも出るんですか?」ルルリナ、いきなりなんですか? 意味が解りませんよ。
「そうですとも、ニヤニヤしたかと思えば、落ち込んだり、表情が濃厚すぎますよ」へ? いやいや、ちょ、ちょっと待ちなさいよ、コロラさん、私そんな顔してませんけど?。
「喜怒哀楽が激しすぎるのでは?」ユカさん、ちょっとまて、私、今、見ていただけですよ、何故、そうなるの?。
「シルフを見ていただけなのに、そんなの有り得る分けないでしょ」
「あれ? お気付きになれないなんて、お可哀想にねぇ……」ねぇ、じゃない、其所の三人!。
「ちょっと、後ろの御二人さん、いい加減、レイラレスカ様にちょっかいをお掛けるのは、お止めになられた方がよろしいかと存じ上げますよ」え? もしかして、助けてくれるんですか、ユカさん。
「そんな中途半端にするんじゃなくて、講するですよ」胸を鷲掴みされて揉まれた、揉みしだかれましたよ。
モミモミ……「ん……や……ダメ」モミモミ。
「そんなに、されたら、て、ちがぁう!」……私は右手拳を上げて、ワラワラ震わせた。
あんたね、あんたらね、やって良い事と悪い事の分別くらい出来ないのか、頭来た。
揉まれている手を振り払い。
「我が問いに答よ、汝、大地の精霊アテナ。
続けて問う、汝、雷の精霊トール、光の精霊レム、闇の精霊ブルートー、樹の精霊ドリアート、水の精霊ウンディーネ」
大地がうねりを上げて人形へと変化していく、頭部から薄茶色のサラサラ髪質が眩しく光り、フワッとアップした、一対の紐がクルリと捩れ髪を束ねた、あっという間にポニーテールに纏まった。
身体に纏わり付いた土が薄皮一枚、剥がれ落ちて行く、衣服を身に纏い、小麦色の美肌が露に成っていく。
見た目、ボディコン、イケイケギャルのアテナが現れた。
続いてトールだ、一瞬放電の火柱が舞い上がり、葵人形だけが残留した、光の結晶態がヒラヒラ散りばめながら、飛散していく、放電色の編み上げられた長い髪、黄金色の瞳、静電気を身に纏った、ボディコン姉さんが姿を現した。
私を囲むように出てこなくてもいいんじゃないの、慌ててした、私が悪いけどさぁ。
召喚は止められない。