シルフ
遅くなりました。(_ _)
「我が問いに答よ、汝、風の精霊シルフ……」えっと、召喚中なんですが、数秒ほど時間を頂いて、ちょっと脱線して、しまいますが、状況説明をしたいと思います。
私の両サイド、斜め後方四十五度に男性、二人が立っているんだけれども、殺気だっていて、ピリピリと、嫌な空気を撒き散らしていて、喧嘩なら他所でやれよ、と、普通なら想うところなのですが、喧嘩の原因が私にあります。
二人は私との交際が目的なのですが、私は、どちらかとお付き合いを、する等と言った覚えは御座いませんので、いい迷惑です。
一人は真人、私がコボルドに襲われそうな時に、助けてくれた自称、神聖魔王を名乗っている、格好良い魔族で。
ルルリナが勝手に助ける報酬として、私を差し出したことから始まった付き合いになりますが、決して、私は認めた訳じゃないので、保留になっているはず……。
そんな真人と睨み合っているのが、ユレイブ、私に一目惚れして、何かと付きまとって来る、ストーカーだ。
色男ではあるのですが、私の好みのタイプじゃない、赤髪の長髪で、日々の鍛練を欠かさないのか引き締まった筋肉がキモい、あ、キモいのはユレイブだからです。
だって、俺って格好いいだろ、俺、とか、どうだ、惚れ直したか、俺だけ見てればいいんだよ、的な雰囲気を醸し出して、私だけをターゲットに、見せびらかしてくるもんだから、嫌で、嫌でしかたがないんです。
視界に入ってこないでほしいのですが、アピール度が凄すぎてるので、言えば喜ぶし、無視すれば金魚の糞みたいに付いて回るし、うざさ百二十パーセント、はぁ、誰か何とかして下さい。
そんな二人が私の後に立っているわけですが、この二人、何気に私に触ってきます、腰に手を回したり、背中に手を添えたり、あろうことかお尻を触る始末。
触られた瞬間、足を思いっきり踏んでやりました。
後ろで「うぅ……うぅ……」言ってますが、無視です。
こんなセクハラ、されながらも召喚しないと、いけないなんて不幸です……友人のルーナやイアラは、助けてくれません。
どうしてか?! それは妹二人が両脇に居るから視覚で見えないからの、じゃ止めるように言えば、逆効果になる可能性が高い。
やったー! 触らば話し掛けてくれる、と、いう事になりかねない、はぁ、やってらんないわよ、まったく。
こんな状況の最中、召喚している私なのです。
でわ、戻ります……。
魔方陣が描かれ精霊シルフが姿を現した。
透き通ったエメラルドグリーンの髪、フワフワ微風が舞い上がり、ほんのりと涼しい風が通過していく、幼い少女だ。
「キャー、可愛い」子供ならいいんかい!。
先とは打って変わって、可愛いコール、我先に抱きしめようとするから逃げてるじゃんか。
シルフごめん、耐えてください。