イフリート
イフリート、イフリートといえば、高熱原体の塊で周囲の物を焼き付くすイメージだけど、なのに、この子は。
紅蓮の炎を身に纏った美女、春の訪れを想わせる暖かさを周囲に漂わせている。
なにより、触れられたら心地好い陽気に抱かれて、そのまま眠りに就いてしまいそう。
長い髪の穂先にいく程に蒼白く、ゆらゆらと揺り籠に抱かれて飛散していく様は美の結晶ともいえる。
頬純な肉体は、世の男達を惑わすのに十分なほどで、決して触れては活けないのに、全てを投げ出してでも、手に入れたい欲求に刈られてしまう、そんな美女が私の目の前に立っている。
こんなの反則でしょ!。
「レイラレスカ様。
我が主に相応しき御方、喚び掛けによりここに馳せ参じまいりました。
難なりとご命令を!」胸に手を宛て一礼する様は美、その物でしかない。
そんな、イフリートと出現に目を奪われている最中、シンフォニア、ギルドメンバー達が目を覚ましていくのだが、しばらく放置されることになる。
「レイラ姉様、凄い。
他には呼べないの?」愛実さんや、呼び出したばかりなんですけど、イフリートが自分より可愛いからって放置するんですか?。
「そうだよ、違うの呼んでよ」おい、真歩! いくら美人だからって、それはあんまりだと思うよ。
「そうね、次、呼んで」お母さんもですか。
「ちょっと、まってよ……」なに、この家族は……。
「いいから次、呼んであげなさいよ」ルルリナ、ややこしくなるから、入ってくんな!。
「レイラ姉!」引っ張んな!。
「い、痛い、痛いから、やめて……わ、わかったから、呼びます。
呼べばいいんでしょ」妹二人に、両脇から腕を握り締められた、痣になったらどうしてくれるの、マジ痛いんですけど!。
「やったー!」喜びすぎだよ、愛実。
「イフリートとごめん、少し待ってて」
「は、仰せのままに」
「我が問いに答えよ、汝、氷結の精霊フェンリルよ」またも、魔方陣が描かれ精霊フェンリルが姿を現したが、出現したとたん、ブゥイングは無いんじゃないの。
男性陣からは「おぉ!」
女性陣からは「はぁぁ!」男共より大きい声って、喚べって言ったのあんたらでしょが!。
「レイラ姉……」私に言われても……。
これまた、文句のつけようが無い美女ですね、摂氏温度になりそうな氷の体、触れた物を一瞬で凍りつかせる、冷気を漂わせているが、イフリートと同様なんだけど、真逆で周囲には涼しさだけが伝わってくるのが、不思議なくらいです。
それに、透き通った珠の様な白い美肌で、粉雪のロングヘアーをポニーテールにしている美人。
あぁ、お母さん達の目が怖いんだけど、私は悪くありませんからね。
精霊って女子しかいないのかな?。
そんな訳無いよね。
「レイラ! わざとやってる?」こわ……私に八つ当たりしないでよ、召喚しろって言ったの自分達じゃないのさ、出てくる性別までは責任とれません。
「私のせいにしないでよ……」誰か助けてください。




