面接
「すいません、準備しますので少し待ってて頂けますか」
「はい、わかりました」扉を閉めて、固まって動かない、ユカさんを揺すった。
「少し驚いてしまいました。
すいません……」少し? 石化魔法にでも掛かった、かのように停止してたじゃんか、あれを少しとは言わないよ。
「ど、どどどうしましょう……」なぜそんなに慌てているの、それでも神に仕える天使ですか、て、皆も釣られて慌てすぎ、あ、ユカとコロラは天使に当たる人だそうです、本当か嘘かは知りませんが本人達がそう思潮していましたから。
「えらいこちゃ、えらいこちゃ……」それでも元神ですか、ルルリナさん、あんたが一番、焦ってどうすんの。
意外に冷静な自分に驚いてはいるけど、これも女神なったお陰なのかな。
「いいから落ち着きなさい。
別に攻めてきた、訳じゃないんでしょ。
それにさぁ、魔族と神々は戦争でもしているって訳でも無さそうだし、何かの募集を見てここまで来たって言っていたから、誰か心当たりないの?」
コロラとユカが顔を見合わせて、立ち止まった。
あ、てなによ、あ、て……。
「冒険者ギルドに使用人募集の貼り紙をしました。
でも、あれは王都インベールだったはずです」
「ユカさん、となると、ここは最南端に位置する場所になります。
魔族が居るはリリバーム、帝都リリバーム……」
「また、偉い所に転移させられたもんですね。
王都インベールから二万キロ以上離れてるじゃないですか」
正確には二万四千キロほど離れた場所で、移動日数にして約一年駆けて移動する距離だとか、とお……。
話し合う事十分、アクアに住む同じ住人だということが判明したんだけど、あそこまで焦る必要、なくない。
インベールだと思い込んで開けたら違う種族が居たから慌てただけだなんて、紛らわしいったらありゃしない、こっちが焦るっての。
「折角、集まってもらいましたから面接しますか」あっさり決めたな、ルルリナさん。
「そうですね、可愛い子もちらほら見てましたし」ユカさん目が、目がヤバイんですけど。
「で、御座いますね。
有能な人材、確保できるでしょうですし、仕事も減りますしね。
願ったり叶ったりで御座います」コロラさん、なに、獲物を狙う目になってんのよ。
呆れた、家の家族も……て、なに、キラキラ眼を輝かせてんのよ、さっきまで一緒に慌てふためいていたじゃんか……呆れるにも程があるよ、もう、好きにして下さい、私は何があっても知りませんよ、ほんとに!。
面接会場の準備が着々と進行していく、なんだろう、この不安と期待が入り交じった感覚は、魔族を面接するなんて夢にも思わないからかな、なんかドキドキしてきた。
「でわ、準備も終わりましたし、最初の方をお通ししてください」いよいよ、面接が始まります。