訪問者
「レイラねぇ、待ってよ」回復早いな、前はしばらく項垂れていたのに。
「真歩、歩き難いからくっつかないの」エヘヘじゃない。
階段の踊り場で、妹二人に抱き付かれる日がくるなんてさぁ、でも、こんなにお姉ちゃん子だったけ……ふとしたことで、そう感じてしまうのだけれど、思い当たる節がない。
記憶の片隅にでも、あれば、納得はするんだけど、前になにか、とっても大事な事を言われた、気がするんだけど、思い出せないんだよね、ん~……分かんないから後で考えよっと。
あ、そんなことより、神様が三つの世界を旅して集めろとは、言われたけど、今居るのが一番最初の屋敷で間違いなければ、一つ目の世界アクアになるってことか、で、二つ目の世界が地球になるのか、じゃ……三つ目の世界って、どんな世界なんだろう。
「おい、ボケ女神!。
なにぶつくさ言ってんですか、壁にブチ当たりますよ」
ゴーン、いい音が鳴りました、えぇ思いの外いい音がしましたとも、咄嗟に手で顔を覆いたくなるほどに。
いたーい、痛い痛いむちゃ痛いんですけど。
「お馬鹿ですね。
前見ながら歩いてて壁に突撃する人初めて見ましたよ」痛い、痛いけどこやつに言われると、ムカつくんですけど。
「レイラねぇ」あ、真歩が呆れてる、そりゃそうか、真顔の姉が壁に突撃すりゃそうなるはな、やった本人としては、こんな姉でごめんなさい。
「なにしてんのさぁ、馬鹿じゃないの」愛実、許して下さいよ。
「頭のネジ、大丈夫なのか」お父さんネジってなんね、ネジって、それ酷くない。
「ほんと、抜けすぎてて困るわ」ちょっとお母さん、確かに壁にブチ当たりましたけど、初めてだと思うのですが、何時でもやってるみたいに言わないでよ……次から気を付けるので許して下さい。
「……ごめんなさい」皆、酷いよ、慰めるとかしてくれないの。
穴があったら入りたい気持ちが良くわかるよ、あぁ恥ずかし……。
あれ? 玄関に行ったユカさんが扉を半開きにしたまま固まってるよ。
その場を逃げる様に玄関に急いだ。
ユカの横から顔を覗かせて、緑色肌や腰から羽が出ている人? 角が有る人も居るし、地球で例えるなら悪魔やモンスターばかりが列をつなれている。
最前列に居た緑色の肌の大男が声を上げた、渋い、何て心地よい美声なんだ、もっと聞かせてって、ねだりたくなるなんて、はぁ女殺しだ、回りの女子達が魅了されてんじゃないのさ。
顔は醜男なのに、その美声は反則です……いかついだけかも。
「あの、求人募集を見て面接に来ました、ゴブリン族のベルベッセと申します。
此度は女神、レイラレスカ様のお宅で働きたく参上致しました、どうぞよしなに」胸に手を当て一礼をした。
紳士だ、なんて紳士なんだ、外見からは想像できないほどの紳士っプリです。