手料理が食べたい
勇也さんの視線が痛々しいけど、そんなに見られても困るんですが、ん? コロラさん、顔が恐いんだけど、なんで?。
「あの、皆様宜しいでしょうか。
我々が異世界に飛ばされた事は紛れもない事実です。
ですが、お腹が減っては何も良い考えは浮かびませんので、そろそろ食事の用意をしたいと思いますので、お許しが頂けるのならキッチンを、お借りしたいのですが」あ、お腹が減ったのね、なにを真顔になってると思いきや、食事の事だったのか、この人達は緊張感がないってゆうのか、マイペースなんだよね、神って皆こうなのかしら。
「あ、すまん、もうそんな時間か。
じゃ台所に行こうか」確かに時計は十一時半だけどさぁ。
「ユカさん、お手伝いをお願いします」
「は~い、でわ、失礼します」
「あ、待って待って私も行くから」ルルリナと二人だけ残されても嫌だし。
「俺の部屋は二階なんだ、台所は一階にあるから下に行こうか。
あれ? 開かないぞ」部屋の扉が重たい、三人掛かりやっと開いた。
あれ? うちの両親と妹二人に、え? えぇ、スティ? 私が所属していた【シンフォニア】ギルドマスターのスティゴールドだけじゃない、ルーナとイアラ、それにフリナにリナ、トクナガとフジマルまで居る。
二人が擦れ違えるくらいの廊下を埋め尽くして、皆グッタリしたまま動かない。
「おぉ! すげぇな」勇也さん、発情期を迎えた雄の目になっていますよ。
「レイラさん、皆さんを起こして上げなさい」ルルリナの真顔を初めて観ました、斯うしてれば可愛い一匹の妖精なんだけどなぁ、いやいや、外見に騙されちゃいけません。
「起こせばいいんでしょ、起こせば」この後、皆に自己紹介するのが面倒臭いな、あ、そうだ、本人達にやらせればいいんだ、私が態々する必要ないじゃんか、なぁんだ焦って損した。
「嫌そうにしたり、嬉しそうにしたり、変な人ですね。
ほら、さっさと起こしない」ルルリナ、あんただけには言われたくないね。
「煩いな、今やるっての……」
私の家族から順番におでこを触っていった。
「ん、ふぁ~よく寝た。
レイラ、腹ぁ減ったから飯作ってくれ」おい、起きて直ぐの台詞がそれですか、お父さん。
「んーー。
何か凄ぉくスッキリした。
え?! お姉ちゃんの手料理、やった!」真歩、あんたもかい。
「……レイラ! 悪いわね。
お母さん楽出来て嬉しいは」目覚めの一言とは思えません……。
「おはよう、お腹ペコペコだよ。
レイラ姉ちゃんの料理美味しいから好き!」愛実さん、ちょっと可笑しくないですか、もうさぁ堂突っ込んでいいのか分かりません、うちの家族って……。
ギルドメンバーも起こしていったが、私の手料理が食べれると聞いて目をキラキラさせていた。
コロラさん、ユカさん、助けてくだ……あ!。
「それは本当でございますか?。
レイラレスカ様が作って下さるんですか」あの……。
「有難う御座います。
レイラレスカ様の手料理ですか、さぞ美味しいでしょうね」ちょっと、ちょっと、君達待ちなさい、さっきさぁ自分達が作るって言ってたよね、ねぇ言ってましたよね。
「じゃ君達の自己紹介は食事をしながらってことで」ギルドメンバーの紹介は食事をしながらする事に、勝手に話を進めてんじゃねぇよ、ルルリナさんや!。
「さぁ! 皆さん行きますよ」
「ちょっと、待ちなさいよ。
私作るなんて一言も言ってませんけど」
「いいじゃないの、作ってあげら」
「お母さん、私に拒否権はないのですか?」
「皆が、食べたがってるんだから作って上げなさい」
「……はい」はぁ、もうさぁ泣きたいよ、なんでこんなに強引なのさ、やってらんないよ、まったく。




