足踏み
今後の事に就いて話初める勇也さんだけど、ルルリナの様子が可笑しい、すげぇ真面目に聞いてるじゃんか、ありえない。
「ちょっと、レイラ聞いているのか」
「聞いてます、聞いてますよ」ニンマリ笑みを溢すルルリナが怖いんですが。
正野勇也さんのお仕事は小説家だそうで、はて? 小説家ってどんなお仕事なのか私にはさっぱり分かりません。
だって、アクアにそんな職業なんて無いし、あるのは冒険者、農夫、商人、旗織士、鍛冶屋、警務隊、あとは一般的な復職だけで……。
「あの、勇也さん、小説家ってどんなお仕事なんですか?」
「えっとね……」ニヤリとルルリナが笑った。
「なんですか? レイラさん小説家の仕事も分からないんですか。
何ておつむの弱い人なんでしょう」ルルリナ、割って入らないと気がすまないんですか、あんたは! しかもそんなに嬉しそうにしてさぁ。
「知らなくて、どうもすいませんでした」
「レイラさんいいですか、小説家の仕事と言うのはですね……。
そんなの……私が知らない事を、貴女が知る訳がないじゃないですか。
ちょっと、考えれば分かる筈ですよ」
「………」何故、知りもしないのに態々入ってきたんだ、こいつは?!。
勇也さんが呆れちゃったじゃないのさぁ、どうすんのルルリナさん。
「ねぇ、もしかしてさぁ知ってるつもりで話したら、知らない事に気付いたとかじゃないよね」
「……煩いですね」図星だったみたいね、まぁいいや、ほっとこ。
「ルルリナ、黙っててくれるかい」
悛ってしちゃってさぁ、あの態度の違いはなに……。
勇也さんが詳しい説明をしてくれた、小説家は物語を作る人だそうです。
なんだろう、じゃ私って勇也さんが想像した人物だって事になるの、あぁもうさぁ、それを理解しろってのは、無理があるんだけれど。
「そうは言ったけどさぁ、リアルレイラレスカになると、何て言えばいいのかなぁ、ん~いい、非常にいい」
あの、段々目がイヤらしくなっていっているのは、気のせいじゃないよね、男ってさぁ、なんで、いつもこぉエロ目線になるんだろう、あぁヤダヤダ!。
「あの、勇也さん、それ以上見ないでくれませんか、恥ずかしいんですけど……」
「あ、ごめん、ごめん、余りのクオリティの高さに感動してしまったよ」へぇ~だからあんなに嘗め回す様に見てたのね、このどっスケベ!。
「……何に感動したのさぁ」クオリティってなんだろう?。
「あの、勇也様、クオリティとは何でございますか?」え? ユカさん私が聞いてるんだけど。
「えっとね、ちょっと待ってね。
クオリティとは、品質、性質、質の良い物って意味なんだよ」あの、私のはスルーですか?。
「そうなんですか」おい、放置かい、何気に酷くないですか。
「あれ? レイラ、なんだよ。
嫌そうにしてさぁ、なにか気に入らない事でも、あったか?」あれ? 何時の間にか、呼び捨てになってるし、まぁそれはさて置き。
「そうですよ、レイラさん」ルルリナ、鬱陶しいから出てこなくていいっての……。
「ちょっと待ちなさい、て、ことはさぁ、人の事を物として観ていったてことなの、それって酷くない! ユカさんもそれで納得しないの!」
「いや、そんな積りは無いのだけれど、気に触ったのなら謝るよ」
「貴女も一々細かい人ですね、だから駄女神なんですよ。
女神なら最も心を広く持ちなさい」ルルリナ、あんたって奴は……。
「心狭くて、すいませんでした!」てかさぁ、女神! 女神! て、煩いんだよ、好きで女神やってる訳じゃないんですけど。
「女神なら女神らしく、したらどうなんですか」女神らしいってなんだヨ。
「はいはい、すれば良いんでしょ、すれば……」はぁ、面倒臭くてやってられっか、ての。
「やっぱ、剥れても可愛いなぁ」勇也さん、なんかズレてる気がするんですけど。




