この駄女神
「な、なんですか……皆さんそろって、人を、そんな目で見るのはやめていただけませんか、し、失礼ですよ」プカプカ浮いて肩を震わせている。
「ルルリナ……あんた、もしかして泣いてるの」
「うるさいですね、ほっといてくれませんか」あぁ、ふてくしちゃってさぁ可愛くないの…でも、ルルリナがこんなに辛そうにするなんて、よっぽど堪えたんだな、少しくらいなら慰めてやるか…。
「慰めてくれなんて、一言も言っていませんよ、この駄女神!」
「はぁ? 折角慰めてあげようとおもったのにさぁ、駄女神なんて酷くない」
「駄女神に駄女神って言って、何が悪いっていうんですか」腹立つ、落ち込んでるから慰めようと思った私がわるぅうございました。
「ルルリナ! あんたね! 私がいつ女神になったてのさ! 言ってみなさいよ」
「レイラさん、貴女、女神である自覚はないんですか」
「はぁ?産まれて此の方そんな自覚を持った事等一度もありませんけど、それに何時私が女神になったのさぁ」
「あの…」
「なに!?」
「大変申し上げ難いのですが、レイラレスカ様は今現在、女神であらせあれます」
「ユカさん、そんなことあるはずな……あ……」
「やっと、思い出しましたか」
そうだ、思い出した、落雷打たれて瀕死の私達家族を助ける為に、ルルリナが勝手に女神や神にしたんだった。
「思い出されましたか?」
「思い出しました……助けてもらっといて、なんだけど女神することはないんじゃないの」
「また、その話を蒸し返すんですか?」
「………すいません、忘れていた私が悪かったです」
「わかればいいんです、わかれば」
なんだろう、ルルリナに言われるとイラってするな。
「それで、私が女神のはわかったけど、なにができるの?」
「さぁ~?」振るだけ振っといて放置ですか、酷くない!。
「さぁ?って、なによ」
「そんなの、私に聞かれても、困るんですが」
「………」話しにならないんですけど、どうしろってのさぁ。
「あの、ちょっといいかな?」
「なに? 勇也さん」
「レイラ……レイラさんはね、癒しの女神で……治癒魔法が得意で軽い病気や怪我の治療が専門的にできるんだよ。
少し攻撃魔法が使える程度、得意じゃないからさぁ、あんまり期待はしない方がいいよ……後は料理や家事全般が得意で女子力が高い子なんだけどさぁ。
ん~こんな感じかな、後何か質問あるなら答えるよ」
「………」なにそれ、本人目の前にしてそんな事、答えられても困るんですが、魔法ってなに、使ったこと一度もありませんよ。
「なんだよ、黙りこんでさぁ」
「魔法って、どうやって使うの」
「レイラさん、手の平を出して、こうすれば発動しますよ」火の玉が手の平から浮き出てきた。
「すごい!」ルルリナの顔がドヤ顔に変わった瞬間、あ、しまった! 既に遅かった、ニンマリ笑った顔が、こんなにも凶器に感じるなんて、それにさぁ悪寒が全身を駆け巡るなんて思わないでしょ普通は…もう、感動した私を返せ。
「えへへ、そうでしょ。
所詮、貴女は名前だけの駄女神ですからね。
でも、これは貴女、レイラさんの力を使ってるですよ」そんな、勝ち誇って、言われても困るんですが。
「勝手に女神にされるは! 魔力使えないから馬鹿にされるは! ねぇ使えなくて当然じゃないの?。
もう、なんなのさ!。
なに、こうして手を前に出して力でも込めればいいとでもいうの!」
「あ、魔力制御も出来てないのにそんなことしたら……」ルルリナそうゆうことは早く言って。
いやぁああああ、誰か止めて! 止めてください。
巨峰の大きさだった、火の玉は火柱を携えてミルミル巨大化していく、光熱が空気中の水分を蒸発させて乾燥していくのが肌で感じ取れ、ヒリヒリと伝わる熱源は太陽に匹敵するかの如く、触れれば全てを溶かしてしまいそうだ。
誰よ、攻撃魔法が弱いって言った人は、冗談抜きでヤバイんですけど。
「落ち着いて、手をゆっくり閉じるんです」
火柱が消えて少しずつ小さくなっていく、ゆっくり、またゆっくりと外苑部から火の湯気と共に消えて行くさまは、蝋燭の灯火からユラリ消え行く様だ、穂のかに暖かく、綺麗な流線形を描きながらとても美しく可憐に散ってゆく、あれほど熱かった嘘のよう。
「……あ、ありがとう、ルルリナ」
「ほら、やっぱり、駄女神じゃあないですか」




