もう、やってらんない!
「あの手が胸に当たってるんですけど?」脇の下に手を入れられたから諦めてはいたんだけどさぁ、胸、鷲掴みはありえなくない。
「……ねぇ、ちょっと? 聞いてますか?」指が絶えず動いてるし、最悪最低な人、人じゃないけどさぁ、こんな状況で揉むか普通。
あぁもう殴っていいですか?! ねぇ、ちょ……ちょっと、持ち上げないでよ、顔が、顔が近いんですけど。
「ちょっと悪いのだが首に手を回して繰れないかい」
「……」回した途端、キスとかしそうだからやだ。
「そ、そんな目で見るな……」
「え? だってさぁ……この手はなに」胸を鷲掴みしている手の甲を指差した。
「べ、別に揉みたい、訳ではないぞ」
「へぇ~そうなの」ズボシを突かれて苦笑いしてるくせに。
「これはだな、魔法を撃ちたいのだ、だから手を首に回してくれないか、御願いする」
「レイラさんや、言うことを聞きなさい」ルルリナったらさぁ他人事だと思ってイイ気なもんね、はぁあ……わかったわよ、回せば良いんでしょ回せば……。
「……はい、これでいいんでしょ」
「おう、ありがとうな……」ニヤニヤしてさぁ、あぁやだやだ。
ヒィヤ、背中を微量の静電気が駆け巡る、え! え! ウソ……。
真人が左手を前に突き出した。
「雷鳴を轟け」
バチ、ブォンゴォ……ガザゴロゴロ……ズッギャゴォーヅゴギャズゴーン、手の平から雷が、閃光と共に放たれた。
すご……あ、コボルド達が……。
「凄いですね。
へぇ~あんな風に流れて行くんですか。
それにしても見事までに感電していきますね」
隊列を組んで行進しているコボルド達を容赦無く感電させ行くなんて、えげつな…毛を逆なで、泡を吹き、白眼を向き、膝を付き、顔を上にあげ、槍を支えに崩れ落ち、仁王立ちしている者まで、様々だ。
でもさぁ、コボルドってあんな風に団体行動するんだ、にしても……可愛くないな……愛くるしさなんて微塵もないよ、囲まれたらやだなぁ。
「この世界でもっとも凶暴で恐喝、一番出会したくない相手ですからね。
スライムよりはマシですがね」
「え? そうなの?」
「あの、お話しは後で、お願いできますか。
ここから離れないと危険な状態になってしまいますので……。
真人様、行きましょう」
「おう、そうだな」
焼け焦げた肉の香ばしい臭いが漂ってくるなか、速足で離れた。
ルルリナが聞いてもいない事を独り言の様に語り始めた。
「スライムは魔法でしか倒せないんですよ、打撃や剣での攻撃は一切効かないし、触たっら最後取れませんしね。
それと自分と同じサイズの者になら擬態可能てのも、ありましたっけ。
頭も良いですから仲良くなると心強い味方にはなってくれますよ。
彼等にとってはお友達は大事にしなさいってルールみたいなもんがあるらしいですよ
ん~、こんなところですかね」
へぇ~そうなの……さすが傍観の神ってだけあって色々知っていて、生きた辞書て感じだけどさぁ。
なんだろう、この感じは、スッゴク嫌な予感……。
「レイラさん、聞いてんですか?」
「へぇ?」
「へぇ! じゃないですよ、折角説明してんですから受け答えくらい出来ないんですか?」
「あのさぁ、今の状況、解ってて話してる?」今さぁ、お姫様抱っこされて走ってるんだよ。
「そんなの、私になんの関係があるんですか?」
こ、こいつは!。
「はぁ、はぁ……わ、悪いが話なら……はぁ、はぁ、あとに……してくれ……」ほら、真人もこう言ってるじゃん。
「煩いですね、部外者は黙っててください」
「はぁはぁはぁ」あ、怒った、顔が卑屈いたよ、仕方無いなぁ。
「聞いてますよ」
「それならいいんです」偉そうに! なんなんだろう、もうさぁ頭痛が酷いよ、私は!。
◆◇◆◇◆◇◆
もう結構走ってると思うんだけどソロソロいいんじゃないのかな。
「あの? もうここら辺でいいんじゃないですか?」
「はぁ、はぁ、真人様、あの岩の辺りでなど、どうでしょうか?」
「はぁ、んぁ、はぁ、そ、そうだな」
大岩に着くと私はそっと下ろされて、真人はヘタリ込んで、腰を下ろした。
ミカは鞄から水筒袋を取り出して真人に手渡して、私を挟んで座った。
「あぁ、疲れた、まじ! こんなに走ったの久しぶりだぞ」
「すいません、重かったでしょ」
「いあ、柔らかい感触が堪らんかった」
「……」は? ちょっとまて……意味分からんし、こいつ危険だ。
「あ、いや、違う、重くはなかったぞ」
「………」もう遅いは! ないわぁ、マジ引くは……。
「そ、そんな目で見ないでくれ」
「……」近くに居たくありません。
「黙ってないで、なんとか言え」
「……変態」
「……すいませんでした、だって女の子なんて久々に触ったし、むっちゃタイプだし、一目見た時から、もう、ぞっ恋だし、報酬とか抜きにして、まじで、俺と付き合ってください」
「……」な、無いわ。
「幸せにしてみせる自信はある、返事は今直ぐじゃなくても良いぞ」
「……あ、そう」なんか、誰かさんと被るな、やだなぁ、どうせ付き合うならギルメンから選んだ方がまだまし。