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私は物じゃない

 こんな状況なのに緊張感が全無い男女(ふたり)だな、鬼神?魔族? 頭に二本の角、瞳は猫眼で耳は魚の胸ビレの形をしている、後は私達ヒューマンと変わんない。


 真人(まさと)って名乗った男性の方は……家で見た写真の人に似ている、まぁ格好いいほう……いあ、格好いい、格好いいですが、彼氏にしたいかって言われたら、ん~どうだろうなぁ、微妙…でも格好いいし背も高い、私より頭一個分位かな? 私が百六十三センチだから……百八十くらい? それになんていい身体付きをしているの、ムキムキでもなく、痩せすぎでもない、程好い肉付きラインがなんも言えない、痴女が居たら『やべぇ、涎が出て堪りませんなぁ』て、言いながら襲ってそうな、な、わけないか。


 良い男ってのはこうゆう人の事指すんだろうな、でも私的にはお付き合いは御遠慮願いたい、何故って言われたらさぁ…外見で付き合うの? て、事です。


 隣に居る女性は……負けた、いあ、敗北宣言には早い気もするけど! だって小顔で、なにそのプロポーションは、私より胸大きいしさぁ、隣には絶対並びたくないです。


 黒髪を項で一括りに縛って密編みがお尻に掛かりそう、服の着こなしも文句なし、スラットしてて美人で、百七十は有りそうで…私だって……やめよ、言ったら余計惨めになりそう。


 ちょっと、まてまて人を嘗め回す様に見んな!。


「あの? なんですか?」


「あ、すまんすまん、余りの可愛さに見惚れてしまったよ」じゃ嘗め回すように見んな!。


「え?!」いやいやコボルドが来てんでしょ?!。


「オッホン、真人(まさと)様…」睨んでる睨んでる。


「ミカ! すまん、今はここから離れるのが先決だな」もしかして頭上がんない。


「そうゆうことです、お分かりになっているのなら、よろしいです」勝ったね、さすがです。


「解ってるよ……君達、お困りなんだよな?」何故、そんなに笑顔なの。


「はい、非常にお困りです」ルルリナさん、あんたも嬉しそうに言うんじゃないの。


「助けてやらん事もないが、ただでとはいかない、報酬次第だな」え? 只じゃないの。


「報酬ですか?」ルルリナここは、払えるもんなんて無いでしょ?!。


「君達は俺に何を呉れるんだい?」だから、やるもんなんて無いって!。


「この子を差し上げますよ」ルルリナは満面の笑みで両手で差し出した。


「ちょ、勝手に決めないでよ」


「本当か?!」


「どうぞどうぞ、煮るなり焼くなりお好きにしてください、なんなら食べても良いですよ」


「こんな可愛い()が貰えるなら喜んで助けてやるぞ」うわ、鼻の下伸びてる伸びてる、イヤらしい眼で見んな!。


真人(まさと)様が、それで宜しいなら私は止めません」


 え? ちょっと、そこは(おんな)じ女性として止めてかれるんじゃないの普通は…。


「……私は承諾してませんからね!」


「そうと決まれば話は早い、その依頼受けた」

 人の話を聞かない人達だな……。


「うわ……ちょっと……」お姫様抱っこって……てかさぁ、動けない私が悪いけど、抱っこする前に普通は聞くよね。


「はい、動かないでね、急がないとマジにヤバイからさぁ」


「レイラさんや、あれ見なさい」


 コボルドの大軍が此方に向かって行進して来ている、百や二百ではない千匹は居そう、て、多くない? これが普通なの。


「なんて顔をしてるんですか、面白すぎですよ!」ケタケタ笑い出すルルリナ。


 わかちゃいるけど、腹立つな……。

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