振り返れば……
悲劇? 悲劇と言っていいのか? 確かに私自身は望んではいたけれど、これはないんじゃないの? なんで家族全員御招待なのよ!
と、思ってからもう2年と2ヶ月半がたとうとしている。
最近、私が元男の子だって教えてくれたのはいいけど、そんな記憶は御座いませんので、信じる事が出来ないでいる。
嘘であって欲しいところなんだけど…… 信じる信じないは自由って言われてるから余り考えない様にしている。
だってそうでしょ、いきなりさぁ君、男だったんだよって言われたら信じるって話だよ。
今更そんなんはどうでもいいことだ。
だって元に戻るんなら死んじゃうて言われたらさぁ実際どうでもよくない? ねぇそう想うでしょ! それにしても……。
皆もさぁ、こうして食卓を囲んでワイワイやっているのが、当たり前の日常になっているのに(おかしくない?!)と思うのは私だけ? 皆和みすぎ、なんじゃないの言いたくなるよ。
(まったく)
だからといって地球に戻れる手懸かりすら見つけられない現状で、今更慌てふためいたところでなにも進展はしない……いや、もう皆諦めているからかもしれない。
とはいえ、私は帰る気など更々無いのだけれど、家族だけでも帰してあげたいなぁなんて……思ってはいる。
「レイラレスカ様、どうなさいました?」
「あ、なんでもないよ」
この娘はユカ、種族はミューズ、耳と尻尾以外は人と変わらない、でも一般的に言えば獣人族だけど、それは失礼に当たるから禁句だって、エルフのコロラに言われた。
そのコロラはエルフなのに、ペンギンと思わせる不意気を醸し出しているから、ちょっと面白い。
人を猿って言われたら腹が立つのと一緒のこと。
ミューズはミューズで、人は人ってことだ。
私は10人が座れるテーブルの椅子に座っているわけだけど、目の前に居るスティゴールドこと、私が所属しているギルド【シンフォニア】ギルドマスターである。
エルフなのにエルフらしさなど微塵もないし、それに、ここに居るほぼ全員が元地球人、5人を除いて。
でもって、この20畳ダイニングキッチンに居るのは……エルフが4人、ダークエルフが1人、ミューズが1人、ヒューマンが6人、魔族が2人、妖精が1匹、後キッチン2人いるけど……後にしよう。
エルフは耳が尖っているだけで後は人と変わらない、ダークエルフも一緒で耳が尖っていて小麦色の肌をしている。
魔族は頭に2本の角、猫目の眼球、魚の胸ビレのような耳が特徴で、その他の外見は私達ヒューマンと変わらない。
妖精のルルリナは体長15センチ、小さな女の子、外見はヒューマンのまんま何も変わらない、羽も無いのにプカプカ宙に浮いているが、外見の可愛らしさに騙されてはいけない、私はこいつに酷い目に何度も合わされているのだから、要注意だ!。
さて、私達がここに来た頃は……。