最終戦1
「凄いな、1ヶ月でここまで組めるものなのか」
ここへ来た時に通った筈の道には、記憶にないがっしりとした石組みの砦が建っていた。
「まぁこれでも急ごしらえ感があるんだがな」
「そうなのか……ん?」
門の中に入っていく兵士達の中に、見たことのある姿を見つけた。
「おい。レンカ、どうしてお前達がここにいる」
「傭兵だよ。お前が情報提供した魔力を強制放出させる香を使われると、対策して動けなくなるようなことは無くなるとしても、魔法は使えなくなると見られているらしい。私だったら、その状態でも魔法が打てるから、カウンター役として雇われたって訳だ。シャラは護衛だな」
「なるほどな。……死ぬなよ?」
「もちろんだ。それに、危険な役割を負ってるのはそっちのほうだと思うが」
「レンカ、そろそろ行くよ」
「あぁ、分かった。それじゃあな、頑張れよ」
軽く手を挙げて、レンカは門を潜っていった。
「レンカさんたちも来てたんだね……ますます失敗できないや……」
「メリッサなら大丈夫だ」
「そう?」
「あぁ」
「うん……そうだね、レンがそう言ってくれるなら大丈夫だ」
そうこうしている内に兵士達が砦に入りきり、門が閉じられる。
「さて、最終確認だ。武器防具の点検をしろよ?」
大剣を太陽に翳しつつザンは、そう言った。
「もう済んでいる」
「おう、そうか」
あわただしく動き回り、指令が飛び交っているのが聞こえる砦の中とは違い、門の前は静まり返っている。
「タリア神国軍が見えたぞー!!」
打ち鳴らされる鐘の音と共に、見張り台の声が響き渡る。
「さて、そろそろだな」
剣と盾を握り直す。
と、遠くから真っ白なローブを被った人物が歩いてきた。
盾を構えて、二人の前に出る。
白いローブの人物は何も言わずに構えると、想定したとおりに二本の剣で愚直に突きを繰り出してきた。
「受けられる、というより遅い?」
以前対峙した時に比べて遅く感じるのは、ザンの剣撃に慣れたからだろうか。
二撃、三撃と続く攻撃を盾で受け流す。
「さて、まず一段階目だな」
自分の魔力を引きだし、電気ショック程度の電撃を放つ。
「くっ……!」
本体は、何故か十字に剣を構えて電撃に耐えようとした。
その動きに頭の中でノイズのように鳴っていた違和感が更に強くなる。
「はっ!」
全力で振り切り、本体の左手の剣を弾き飛ばす。
反撃として繰り出された突きで伸びきった右腕を左手で掴み、右手の剣を放り捨てて襟を掴んで背負い投げる。
ローブの人物を組伏せて、フードを脱がす。そこから現れたのは、怒りに満ちた少女の顔。
「っ!?しまった!メリッサ!!ザン!!偽物だ!」
「え!?」
「なんだと!?」
「いったい君は……」
どこかで見たことが会ったような気がする少女に声をかけようとして。
「お姉ちゃんの仇!死ね!」
少女の左手の平が自分の体に向けられていることに気づいて、咄嗟に少女の左手を弾き飛ばした。
その少女の手の平から炎の弾が発射され、何処かへと飛んでいった。
少女の右手をへし折って、放り捨てた剣を拾い直しつつ少女から距離を取る。
「君は、あの時の少女の妹か……」
▽ ▽ ▽
「ちっ!なんでこいつがここに居るんだ!」
本体の攻撃をナイフでいなしつつ、練華はそう吐き捨てた。




