花火大活躍
俺を先頭に、花火、メリッサと縦に並んで、入り組んだ道を走り抜ける。
それは七つ目の角を曲がろうとした時だった。
「ワウ!(ご主人様!なんかいる!)」
花火の声を受けて急いで止まろうとするが、そこそこのスピードにのっていた為直ぐには止まることができなかった。
曲がり角の側には、ヤマアラシルマジロが三体道を塞ぐように並んでいた。このままではその硬い針に串刺しになるだろう。
「『暴風爆』」
両手のブーメランから魔力を引き出し、俺とヤマアラシルマジロ達の間で爆発させる。
「レン!」
壁近くまで吹き飛ばされるが、メリッサに受け止められる。
「大丈夫!?怪我は?」
「大丈夫だ。それより、まずはあれの処理を」
吹き飛んだ三体のヤマアラシルマジロは起き上がると、身体中の針を逆立たせて威嚇してくる。
「威嚇が終わったら突進が来るな」
「止められる?」
「任せろ」
使いきったブーメランをその場に捨て、巾着から新たに二本を取り出す。
それと同時に、ヤマアラシルマジロが猛スピードで突進してきた。
「水よ『水牢』」
ヤマアラシルマジロを三体飲み込むほどの大きさの水の塊を生み出す。
勢いづいていたヤマアラシルマジロは、ぼちゃんという音を立てて水の塊に突っ込む。
「終わりだ『氷縛』」
三体を捕らえたままの水がパキパキと固まっていき、やがて真っ白に凍りつく。このまま放置しておけば、やがて窒息で力尽きるだろう。
「ワウー!(ご主人様すごーい!)」
「ありがとうな。それより花火、助かったぞ」
「ワウ(えへへー、偉い?)」
「あぁ」
「ワウ!(やったー!)」
花火を撫でつつ、使いきったブーメランをしまい、新しい物を補充する。
「急ぎ過ぎた……というより、少し警戒が疎かになってたね」
「そうだな」
「私がその事に気づかなきゃいけなかったのに……」
「メリッサだけじゃなく、俺も気づくべきだった。それに、大事には至ってない。だからここからは慎重に行く、で十分じゃないか?」
「うん」
「メリッサは、全部背負い込まなくていい。旅の仲間なんだ、少しは俺に預けてくれ」
「ありがとう」
「それじゃあ、行こう」
「そうだね」
一歩を踏み出そうとした所で花火が壁を爪でガリガリと引っ掻いていることに気付いた。
「どうした?花火」
「ワウ、ワウ?(ご主人様、この壁だけなんだか匂いが違うよ?)」
言われて辺りの魔素を確かめてみると、その壁だけ魔素が異常に溜まっていた。
「あっ、これ。レン!」
「たぶんな」
壁を蹴りとばす。すると、がらがらと音を立てて壁は崩れていった。
「あったね、隠し通路」
「ワウ!(壁が崩れたー!)」
「連れてきて正解だな、本当に。大手柄だぞ、花火」
「ワウ(やったー!誉められたー!)」
開いた通路の先は直ぐに扉になっていた。躊躇いなく扉を開けると、いつもの黒棺が目に映る。今回は、誰も出てきた様子はない。中にはまだ入っているのだろう、七分の一の自分が。
そう思いつつ、俺は黒棺に手を触れた。
「強欲と救恤を確認、統合します」




