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怠惰で勤勉な俺は旅に出る  作者: 渡鳥 陸
ドラコ皇国
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少し急ぎ目で

 一から四階層までの地図を写し、隠し通路がありそうな場所に目星をつける。


「今回は手がかりがないから調べる場所が多いね」


「まぁ、じっくり探せば見つかるだろう」


「そうだね。通路が移動するようなことはないだろうし」


「なんの話だい?」


 横で聞いていた司書さんが尋ねてくる。


「遺跡にある隠し通路を探している」


「隠し通路、そんなものがあるのかい?」


「他の大遺跡では存在した。それを探している」


「なるほどねぇ。なら彼女たちもそれを探してたのかねぇ」


「彼女達?」


「そうだねぇ、女というより女の子ってくらいの子と男の二人組さね。そうだ、女の子の方はあんたみたいな黒い髪をしてたっけね。親戚に冒険者やってる女の子はいないかい?」


「いや、いないが……だがありがとう。メリッサ、行こう」


「うん」


 本を元の位置にもどしたら、すぐさま資料室を後にする。


「ねぇ、レン。さっきの話にでてきた二人って……」


「そうだな。もう一人の俺だろう」


「急がないとだね」


「そうだな。多分俺達がここに着く前の日にはザンの特別許可を貰っていたんだろう。あのときザンがこぼしていた経験不足の女ってのがそうだな」


 直ぐに、大遺跡入り口前の受付にたどり着く。ピークは過ぎているのか、他の冒険者は見当たらない。


「おはようございます。おや、初めての方々ですね。まずは、ギルドカードをこの水晶にかざしてください」


 言われたとおりにかざすと、水晶が淡い青に光った。


「はい、許可を得られている方ですね。では、ここにお名前を」


 羊皮紙を渡される。そこには、冒険者の名前であろう名前が書き連ねてあった。


 とりあえず、他の冒険者に倣って書いていく。

 メリッサも同じように書いていく。


「ワウ?(僕も書かなくていいの?)」


 花火は……大丈夫だろう。


「はい、ここでの手続きは以上です。それではお気をつけて」


 受付に送り出されて、ギルドの裏口から出ると。四方を壁に囲まれているその中に、重厚な遺跡の入り口が鎮座していた。


「それで、どこを探す?」


「まずは四階層に降りてそこから上がっていこうと思う」


「探すのなら普通は上からだからね。彼らが探してない方から探していく感じだね」


「ああ」


「じゃあ、まずは四階まで突っ切るって感じだね」


「ワウ!(それ楽しそう!)」


 入り口の前で、ブーメランを二本取り出し両手に持つ。


「今回は魔法多めにいくの?」


「その方が何が来ても対処しやすそうなんでな。ヤマアラシルマジロがいなければ剣の方が早そうなんだが……」


「ヤマアラシルマジロはレンしか対処出来なさそうだもんね」


 準備確認を終え、遺跡の中に入る。


「よし、いくか」


「うん」


「ワウ」


 四階を目指して最短の通路を走る。と、その途中でファングウルフ3体の群れが通路をふさいでいることに気づく。


「左のをやる、花火は真ん中のを」


「私のは右端ね」


 個々人の標的を確認したところで、あちらもこちらに気づいたようで、3体全てがこちらに向き直った。


「『紫電』二重発動」


 紫の雷が両手のブーメランから迸り、一つに合わさって左のファングウルフに殺到する。


「ギャウ!?」


 紫の残光が消える頃には、ファングウルフは炭となっていた。


「らぁっ!」



 メリッサは、走り込んだまま蹴りを放つ。スピードに乗った回し蹴りが、ファングウルフの首の骨をあらぬ方向にへし折った。


「ワウ!」

「キャン!」


 花火は、体に雷を纏うとファングウルフに体当たりする。

 痺れて身動きを取れなくなったファングウルフの首筋に花火は噛み付き、ぐるりと宙返りすることによって肉を引きちぎった。


「ワウー!(主ー!やったよー!)」


 ぼたぼたと血を滴らせながら、花火は駆け寄ってくる。


「よくやったな」


 ブーメランを変えつつ、手頃な布で花火の顔を拭ってやる。


「この数でくるなら大丈夫そうだね」


「そうだな。これ以上なら一度止まって戦わなくちゃならないかもしれないが。よし、行こう」


 四階を目指して、また走るのだった。

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