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怠惰で勤勉な俺は旅に出る  作者: 渡鳥 陸
ドラコ皇国
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資料室

 一晩休んで体の状態を精査した結果、特段異常はなかった。これで問題なく遺跡へ潜れる。


 廊下にでると、ちょうど同じタイミングで部屋から出てきたメリッサと鉢合わせた。


「あ、レン。体の具合はどう?内出血とか無かった?」


「大丈夫だ、全く異常は無かった。メリッサも、休めたか?」


「うん、大丈夫。じゃあ、花火も起こして朝ごはん食べてから遺跡探索の許可もらいにいこうか」


「そうだな」


 荷物の準備を整えて花火を起こし、やはり受付をしている少女に鍵を返した後、そこらのお店で朝食を食べる。


「あの受付の子、いつもカウンターにいるような気がするんだけど、どうなってるんだろうね?」


 黒いパンを食べながらメリッサはそう言った。


「このまま、急いでフリットの町の方の宿に行っても彼女が座っていそうだ」


「ふふ、ほんとにありそうで怖いなぁ」


 そんな他愛のない話をしながら、寝ぼけている体を少しずつ起こしていく。


「ごちそうさまでした」

「ごちそうさま」


「よし、行くか」

「うん」


 食べ終わるころには、完全に目は覚めていた。


 そして、昨日受付をした登録受付へと向かう。


「あ、こんにちは。昨日の特別探索許可の件ですよね、それなら直ぐに手続きできますのでギルドカードを提示ねがいます」


 昨日と同じ受付の人が、こちらが声をかける前にそう言った。


 とりあえず二人分のカードを手渡す。受付はそのカードを一枚ずつ水晶にかざした。するとギルドカードに、文様が浮かび上がる。


「はい、これで大遺跡の探索が許可されました。探索する場合は、こちらの右手にある大きな通路に入りまして、そこの先にあるカウンターで受付を行ってください」


「ここの大遺跡について調べられる場所はあるか?」


「資料室はここから左にありますよ」


「ありがとう」


 ギルドカードを受け取り、資料室に向かう。


 しばらく歩くと、突き当たりの壁に古い扉があった。その上には資料室と彫り込まれたプレートが貼り付けられていた。


「ここか」


「そうみたいだね」


 扉を開けると、壁際の大量の本棚に古くさい本が並んでいて、部屋の真ん中にはテーブルが一つ置かれていた。


「ようこそ」


「ひゃっ!?」


 中に入ったとたん、扉からは見えない隅の方から声をかけられた。気配が無かったためか、メリッサに至っては声を挙げるほど驚いたようだ。


「そこまで驚くことは無いだろうに」


 視線を向けると、薄暗いカウンターに女性が一人座っていた。


「初めての人達だねぇ、ま、そもそもここにくるのは初めての遺跡に挑む前に予備知識を入れておこうってやつか、あとは物好きしかこないからねぇ。基本は一見さんになるわな、そりゃ」


「あんたは?」


「ここの書士さ。蔵書の点検とか整理、蔵書位置の案内とかをやってるね」


「なるほど、大遺跡に出るモンスターの種類と、遺跡の地図を見たいのだが」


「それなら、真正面の壁、左から二つ目の棚の上から二段目にある『獣の書』さね。マップは、一番左端下から二段目だよ」


「そうか。メリッサ、マップを頼む」


「うん」


『獣の書』なる本を探すと、言われた通りの場所にそこそこの厚さの本が置かれてあった。


 手にとってページを捲っていく。中にはこう書かれていた。


 獣の書

 大遺跡内で出会うであろう魔物を纏めておく。これが広まることで、命を落とす者が減ることを願う。


ファングウルフ

強さ3 危険度4

その名前の通り、牙の鋭い狼

単体での戦闘力は高くないが、複数の塊で行動していることが多いため、単独で出くわすと危険である。遺跡内は通路であることが幸いし、複数人でラインを組めば三対三にまで持ち込めるが、下手にかたまって内側に入り込まれた場合、同士討ちに発展しやすいのでそこも注意である。また、ファングウルフは、個体間の伝達を吠えること以外での何らかの手段で行っているため、注意が必要である。背後から攻撃を仕掛けようとしたところ、急に振り返られて噛みつかれたということにならないようにしたい。


ヤマアラシルマジロ

強さ3 危険度3

ヤマアラシの針が生えたようなアルマジロ

その針はとても固く、鋭いため、ヤマアラシルマジロの突進は薄い鉄板を貫く危険なものである。また、外皮自体もとても硬いので物理攻撃主体のパーティーでは苦戦することだろう。水魔法を使って溺れさせれば簡単に殺せるだろう。ただ、火を使う場合は注意が必要である。火のついたヤマアラシルマジロは暴れまわることが多く、それに巻き込まれて火のついた針が突き刺さることになりかねないからだ。


フレイブレスライオン

強さ4~5 危険度4~5

火を吐くライオン。基本的な個体の大きさも通常のライオンより一回り以上大きい。個体が大きくなればなるほど危険である。個体数が少なく、フロアマスターとして出会うことが多いが、一応フロアを歩き回っていることもあるため注意が必要である。

その前足の一振りは鎧の上から強烈な衝撃を与えてくる。噛みつきは、動けなくなるなる上、地面等に叩きつけられた後、そのまま炎の息で焼かれかねないため要注意だ。


その他、モンスターの細かい挿し絵や立ち回りかた等にが幾ページにも続いて書かれていた。


「どうだい?戦いかたは想像ついたかい?」


「一応は、ただ実物を見てみないことには詳しくは分からない」


「それでいいのさ、0から始めるより1から始めた方が進みやすい。それは、そういう本なのだから」


「レン、こっちも見つけたよ」


地図を見つけたメリッサとともに、遺跡の情報を頭に叩き込んで行くのだった。

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