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怠惰で勤勉な俺は旅に出る  作者: 渡鳥 陸
メリッサの故郷+エルフの国
52/106

閉じた国

 うっそうと茂る森の中を黙々と進んでいく。木々によって日光は遮られ、少し肌寒い。


「そういえばメリッサ、今思い出したんだが砂漠で水魔法が使えなかった理由ってのはなんだったんだ?」


「そういえばそれの説明を忘れてたね、えぇっと、まず魔法の素となる魔素には思いに反応して変化するのは説明したよね。それの変化のしやすさって、実は人々の常識とか自然からの影響も受けるみたいで、例えば砂漠だったら水が少なくて、そこに住んでいる人もそれをよく知ってるから、魔素が水とかその水を素にできる氷に変化しにくいっていう訳らしいんだよ」


「なるほど」


「他には、火山とかだと、火魔法が使いやすくて水魔法が使いにくかったり、水辺だと水や氷魔法が使いやすくて火魔法が使いにくかったりとかだね」


「そんな性質があったんだな」


「クロニコさんは教えてくれなったの?」


「そうだな、基本は魔法の扱いやイメージの仕方を学んでいたから、常識は教えてもらわなかったな」


「へぇ」


「教えてもらったことといえば、俺の得意魔法は雷の可能性が高いということぐらいか」


「そうなんだ......あれ?可能性が高い?何か魔道具で測ったわけじゃないの?」


「いや、小さな頃に何か恐怖や畏怖したものか、魅入られたものがあるかと問われただけだ」


「そんな質問だけ?それで、なんて答えたの?」


「その質問された時、真っ暗な空を切り裂いて鳴り響く雷のイメージが浮かんだからそれをそのまま伝えたら、雷の可能性が高いと言われたんだ。実際、俺の魔法の中では雷の魔法が一番発動が楽で、得意な魔法ではあると思う」


「へぇ、そうなんだ。やっぱりその質問が関係しているのかな?」


「そうだろうな。メリッサはその質問で思いあたることはあるのか?」


「ないなぁ」


「光魔法は違うのか?」


「あれは、必要に駆られて使ってたから慣れただけだよ。基本はどの種類の魔法もたいして使えないよ」


「そうなのか」


「そうだよ」




 会話が途切れるといままでとの差で余計に静けさを感じる。そんな時に限って森の中は無風で、葉の擦れる音も聞こえず、動物の鳴き声も無い。


 とその時、微かに茂みが鳴った。

 体が反応して、腰の剣に手を伸ばす。


「え?何?」


 どうやらメリッサは聞こえなかったみたいだ。


「物音がした」


「本当?」


 そう尋ねつつメリッサも臨戦体勢になる。


「待て、こちらは人間だ。攻撃しないでくれ」


 そう言いつつ、先程音がしたほうの茂みから一人の男が出てきた。


「そう言われても、賊の可能性があるだろう」


「それはお互いさまだ。そんなことよりお前達、我らエルフの国へ訪れるために来たのか?」


「そうだ」


「ならば帰れ。我らエルフの国は今、余所者を入れはしない。世界一週でもしているのなら森を抜けた先の町まで案内を付けよう」


「どういうことだ」


「そのままだ、今この国は外からの入国を断っている」


「あの、なんとかなりませんか?私達どうしてもこの国に入りたいんですが」


「駄目だ、そもそもその理由とはなんだ?薬なら商人に卸してある、金が無いからその素材を自分で取りに来たんだとしたらここで売ってやる。工芸品は店で買え、今は制作期の為仕上がっている作品は少ないぞ」


「七大遺跡に用があるだけなんだが、それでも駄目か?」


「遺跡?何か素材が欲しいのか?なら卸値で売ってやろう」


「いや、素材では無いんだが……」


「ふむ、素材では無い……か。分かった、ついてくるといい。案内しよう」


 そう言うと男は懐から取り出した笛を細かく三度吹いた。


「いまのは?」


「なに、ちょっとした連絡と魔物避けだ」


「そうか」


 しばらく男について歩いていくと、少し開けた広場のようなところに出た。すると、男が振り返って。


「さて、もう一度問おう。貴様達は何しにきた」


 と言った。


「遺跡の探索へ」


「偽り無いな?」


「勿論」


「そうか、ならば拘束する」


 言葉とともに男は手を挙げる。それとともに木の上に矢を引き絞った弓使いのエルフ達が何人も現れる。


「抵抗すれば即射殺(いころ)す、動かないことだな。そこの狼もな」


 木の上から音も立てずに降りてきた二人のエルフが俺とメリッサの手首を縄で縛っていく。花火は口と両足を特殊なバンドのようなもので拘束されていた。


「さて、では行くぞ」


 こうして俺達二人と一匹は捕まった。

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