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怠惰で勤勉な俺は旅に出る  作者: 渡鳥 陸
メリッサの故郷+エルフの国
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砂漠の主

 足元にあったはずの砂は消え、ジャイアントスコーピオンの外骨格だけが見える。


「丸々こいつの背中の上だった訳か」


「ねぇ、案内人さん!これ結構大きいけど、こんなのよく居るの!?」


「そんな訳ないでしょう!こんな大きさのジャイアントスコーピオンなんて初めて見ましたよ!それこそ、さっき話していた主クラスと言ってもいい大きさです!」


 背中に乗られているのが癇に障ったのか、ジャイアントスコーピオンは身を大きく振って、俺達を振り落とそうとした。


「お客さん!まずはここから降りましょう!揺れに合わせて跳んでください!行きます!3、2、1!」


 掛け声に合わせて大きく跳び出す。3メートル強落ちたところで地面に着き、砂まみれになりつつも前転で衝撃を逃がす。


「ひとまず、霧燕(むえん)


 ブーメランに霧を発生させる魔法を籠めた投擲技、霧燕で次の魔法の準備を行おうとしたのだが、何時もよりも霧の量が少なく、その霧自体も文字どおり霧散してしまった。


「どういうことだ、これは」


「レン!説明は後でするけど、砂漠では水やその派生に類する氷の魔法は使えないの!」


「そうなのか、それは少し困るな」


 よく使う氷の魔法は相手の妨害や防御を有効に行える。又、霧を使う事で雷の魔法の威力を減衰させずに遠くから放てていたのだがそれが使えなくなるのは痛い。


「お客さん、来ます!砂に足をとられるから何時もより早めに動いてください!」


 案内人の声に続いてジャイアントスコーピオンがその大きな鋏を横に薙いだ。


 ずどんと音がして、砂が撒き上げられる。


「私が正面を引き受けます!お客さんは側面から攻撃を!」


 案内人はそう言いつつ中程度の片手盾とハンマーを構えてジャイアントスコーピオンの正面に布陣する。


「分かった!レンは左を!私は右からやるから!花火は待機!」


「了解」


「ワウ……」


 メリッサがそれに答えつつ場所の指示を出す。花火は……まぁ攻撃が通りそうに無いのでお休みである。それはともかくとして、剣を引き抜きジャイアントスコーピオンの足へ叩きつけるが、キーンとまるで金属を叩いたかのような音がして弾かれた。


「硬った!?めちゃくちゃ硬いよこれ!」


 メリッサのほうも攻撃が通っていないようだ。


「節を!体にある節を狙ってください!」


 案内人は盾で鋏をいなしつつ叫ぶ。節と言われても届かないんだが。


「体勢を崩さなければ届かないぞ、どうするんだ」


「知りませんよ!ここまで大きなヤツとやるのはこっちも初めてなんです、体に攻撃が届かないとか今まで一度も無かったんですよ!?対処法が確立されてるわけないじゃないですか!」


「レン!私、とりあえず足払ってみるよ!3カウントね」


「了解」


「3、2、1」


 カウントの後、メリッサがジャイアントスコーピオンの足を蹴り上げたのが見えた。しかしジャイアントスコーピオンは少し動きを止めただけで体勢を崩すことはない。


「効かないか」


 足を蹴られたことで脅威と判定されたのかジャイアントスコーピオンがメリッサの方を向こうと動き出す。真後ろでは何も出来なくなるので、ジャイアントスコーピオンの右側の足についていこうとして、砂に足をとられた。


「砂……使えるか?」


 六角柱のアレを引き抜き、中に溜まっていた魔力を足元の砂に流し込んでいく。


「風が操れるんだ、操れないことはないだろう?捕らえろ『砂縛(さばく)』」


 砂がジャイアントスコーピオンの右側の足に群がる蟻のようにまとわりつき、その動きを止める。


「よし、出来た」


 しかし、この量の砂を操るためには魔法に集中しなくてはいけないのでこの場から動くことが出来ない。しかも、ただ砂でジャイアントスコーピオンの足を掴んでいるだけなので場が進展することもない膠着状態である。


 ジャイアントスコーピオンは、足を抜こうと踏ん張ったり、鋏で地面を叩いたりしている。


「レン!それ解いて!3カウント!」


「了解」


「3、2、1」


 手を離す要領で砂の拘束を解く。すると、足がすっぽ抜けた反動でジャイアントスコーピオンが大きく倒れこんだ。


「ナイス!これなら!」


「なるほど、節を狙えるな」


 勢いよく近づいてジャイアントスコーピオンの節に剣を差し込む。びしゃりと体液が飛び出してくるが当たり前なので気にはしない。差し込んだ剣を持つ手にずどんと小さな震動を感じた。これはメリッサの打撃がここまで響いてきたのだろう。


「ついでだ、焼き尽くせ『(いかずち)』」


 剣に溜めていた魔素を雷に変換してジャイアントスコーピオンの体に流す。節の至るところから黒煙が上がり、ダメージが通っていることを確信する。


 と、そこで、痛みに堪えかねたのかジャイアントスコーピオンが尾をあちらこちらに打ち付けて砂を撒き上げ、体を揺すって俺達を引き剥がそうとした。さらに、ジャイアントスコーピオンは鋏で地面の砂を打ち、砂の瀑布を飛ばして来た。


 流石に避けることは出来ず、盾で顔を守るも大量の砂に押し流されるようにジャイアントスコーピオンの側から離されてしまう。


 その隙に体勢を立て直したジャイアントスコーピオンは、なんと一目散に逃げ出した。


「あっちの方角は……そんな!?」


「案内人さん!何があるの!?」


「オアシスの町です!」

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