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怠惰で勤勉な俺は旅に出る  作者: 渡鳥 陸
メリッサの故郷+エルフの国
47/106

準備

「レン!」


 ラクダ小屋にメリッサの切迫した声が響く。


「どうした、メリッサ」


「ワウ!」


 メリッサの声に応答すると、それに気づいたメリッサはこちらを見て少し驚いた後、安堵した顔になった。


「メリッサ、何かあったんじゃ無いのか?」


「あぁ、ごめん。前にレンが黙っていなくなっちゃったから、さっきレンの部屋に行ってノックして起きてるか尋ねたときに返事が無かったのが、もしかしてまた黙って出て行っちゃったのかと思って」


「それはすまない」


「謝らなくていいよ、私の早とちりだったんだし」


「そうか」


 花火のブラシが終わり、左手で花火の背を撫でつつ右手で喉をくすぐると、花火は気持ち良さそうに首を伸ばした。



「そうだ、メリッサ」


「何?」


「さっき花火のブラシを探している途中でこれを見つけてな、こんな俺についてきてくれるお礼だ。メリッサに似合うと思うんだが、着けてみてくれないか?」


 先ほど買った首飾りをメリッサに手渡す。


「本当に、いいの?」


「もちろんだ。まぁ、本当は先に借金を返す方が先なんだろうがな」


「旅が終わってからでいいよ、それは。ねぇ、着けていい?」


「もちろん」


 メリッサは首飾りを首に留める。

 ラクダモドキの骨のネックレは、丸く削った骨に穴を開けてそれをいくつかまとめて紐を通したもので、近いものを挙げるとするならば真珠のネックレスのようなものだ。


 それがメリッサの白い肌と相まって映えている……はずだ。

 記憶にある綺麗なもの、美しいものと比較して綺麗なのだろうと判断できても、直感的に感じることはやはりできない。


 不便だ。


「ねぇ、レン。どう?似合ってる?」


「綺麗だと思う」


「本当!嬉しいな」


 気分が乗ったらしいメリッサは次々とポーズをとっていく。


「ふんふふ~ん、どう?」


「すまない、普通にしてたほうが綺麗だ。ポーズが似合っていなくて馬鹿っぽい」


「馬鹿っぽいって!?そんな事思ってたの!?」


「まぁ、時折。そんな事よりそろそろ昼だな、案内人が来ているかもしれない、行くか」


「露骨に話逸らされた!?」


「ワウ?」


「やめて、花火!どうしたの、行かないの?みたいな目で見るのやめて!」


「花火、行くぞ」


「待って!行く、私も行くから!」


  ▽ ▽ ▽


「おや、皆さんお揃いで。お早いですね」


「そっちこそ早いんじゃないか?」


「仕事ですので」


「そうか」


「それでは参りましょうか、お昼は食べましたか?」


「いや、まだだ」


「なら先にそちらに向かいましょうか。お勧めのお店があるんですよ」


「……安い所で頼む」


「先手を打たれましたか。なら腕によりをかけて良い所を案内しますよ、まぁ私は作らないんですけどね!ハハハ!」


 案内人に案内され、お店が並ぶ大通りにたっている店に入る。


「花火も入っていいんだな」


「はい、迷惑をかけないのであればペットも来店可能な店です。まぁ小さいのに限りますが」


「そういえば、正午に集めた理由は何だったの?」


「水等準備品の買い足しの案内をするためです、ここから数時間買い物に回った後は仮眠をとって移動に向けての準備を行います、ですので正午辺りから準備を始めるのが今ポピュラーな方式なんです」


「へぇ」


「まぁまずは注文してからにしましょう、いろいろ情報などもありますし」


 三人思いおもいの品を注文する、花火はその間一匹三人より早く食事として俺の左手を甘噛みしていた。


 ▽ ▽ ▽


「お客さん達はエルフの森に向かうという事でしたね」


「そうだ」


「最近エルフの森からの旅人が少ないのです」


「どうしてだ?」


「なんでもエルフ達が里に入るのを拒んでいるようで、少し危険な代替ルートを通らなくてはならない為にそれを嫌う商人達がドラゴニュートの山の方から来ているようなんです」


「そうか、でも俺達はエルフの里へいかなければならない」


「そうですか、なら十分気をつけて下さい。それともう一つ、タリア神国の動きがここ最近おかしいようなのでそれにたいしても注意はしてください」


「分かった」



 その後は軽く雑談をした後、水等を購入して宿に戻った。


 ▽ ▽ ▽


 日が沈み、暗くなった砂漠もまだ所々熱を残していた。


「さて、そろそろか」


「レンーこっちは準備オッケーだよ」


「了解だ、こっちも終わっている」


 チェックアウトを済ませて店の前にでると案内人が既に立っていた。


「じゃあ行きましょうか」


「よろしく頼む」


「よろしくお願いします」


「ワウ!」


 また、暗い砂漠を進んで行くのだった。

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