心の芯へ
「レン」
その一言で空気が張りつめる。
「なんで一人でここに来たの?」
「メリッサ、君を俺の問題に巻き込んで傷つけたく無かった」
「へぇー、それで?」
「メリッサ、俺は一人で世界を回る。花火をたの「ふざけないで」
メリッサの怒気をまとった声が俺の言葉を打ち消す。
「一番危なっかしい人が何を言ってるのさ。放っておいたらすぐ無茶して危ないような目に会う性格のくせに。レンは私の事じゃなく自分に気を向けるべきなんだよ!」
「しかし……」
「そもそも!私は私の意志でレンについていってるんだよ?それなのに『私の為に』なんて言葉で一方的に君の善意を押し付けないでよ!」
電流が走ったようだった。
『貴方のそれは善意ではなく、逃げているのではないでしょうか』
『レンさんのその独善的な優しさはメリッサ嬢が望むような物なのでしょうか』
メリッサの一言でクロニコとベルに言われた一言がフラッシュバックする。
そして今、ようやく言われた言葉にこめられた意味を理解する。
「そうか……俺の考えは優しさでは無く優しさの押し付けだったんだな」
「そうだよ。私は傷つく事も覚悟してあるし、もしかしたら死ぬかもしれないのも分かってる。でも、私はレンと一緒に行きたいの。暖かいこのパーティーで旅がしたいんだよ!」
「メリッサ……」
「だから……レン、私も連れていって」
透き通った青色の瞳が、じっとこちらを見つめてくる。
熱のこもった目は、俺の体の芯の部分を暖めていく。
「あぁ」
思わず言葉が漏れていた。
傷つけたく無いのに……メリッサがついてきてくれると聞いて、心臓の部分が暖まっている俺が居る。
「メリッサ、こちらこそ頼む。俺に……ついてきてくれないか」
「いいの?」
「あぁ、メリッサがいいんだ」
「本当に?」
「本当に」
その言葉を聞いたメリッサは、満面の笑みを浮かべると、こちらへ走りよって抱きついてきた。
「レン~!無事で良かったよ~!」
そのほっとしたような声色は、先程まで怒気を発していたとは想像できないような優しさで、俺の体の芯に染みてゆく。
「すまない、心配させてしまったな」
「本当だよ!無茶しないって、約束した次の日だよ?すっごく心配したんだから。それで?最後の場所は当たりだったの?」
「あぁ、あの黒い直方体が有った。そして、日本の事を少しだけ思い出した」
「本当!?良かったね、レン!他には?」
「他には……」
ぐぅー、と俺の腹の虫が鳴った。
「あれ?レン、朝ご飯食べてないの?」
「あぁ……ん?」
「どうしたの?」
「腹が、減った」
「え?」
「腹が減ったんだ、俺の。腹の音も鳴った」
「本当に!?」
「あぁ」
「良かったね!よし!こうなったら!」
「こうなったら?」
「朝ごはんも兼ねて飯屋に直行だよ!」
そういうと、メリッサは俺の手を掴んで引っ張っていく。
そして、俺はその先の店でお腹が張り裂けそうなほどにメリッサに食わされたのだった。
おまけ(本編とは関係ありません)
メリッサ:こ、ここは?
渡鳥 陸(作者):作者のぶちまけコーナーです。文字数足りなかったらやるかもしれない何かです。
メ:それで、私がここに居る理由は?
陸:言いたいことがあるんですよ。いいですか?
メ:えっと、はい。どうぞ。
陸:メリッサさん、作中で凄く怒ってましたけど、練が自分のこと心配してくれて実は嬉しかったんでは?
メ:え!?えっと……はい、ちょっとは。
陸:それと、今回の話は実際の所エゴとエゴのぶつかり合いで、今回は怒っていたメリッサさんが 押しきりましたけど、実はメリッサさん、人の事言えないですよね?そのせいで今回の話は凄く難産だったんですよ?
メ:うっ!?す……すいません。
陸:まぁ、一緒に行ってくれるルートに落ち着いたからよかったものの。押しつけ型暴走勇者だったら修正しきれませんでしたよ?
メ:ご……ごめんなさい。
陸:ということで、メリッサさんには罰として、これからもあの堅物の面倒をみてもらいます。
メ:え?それだけでいいんですか?
陸:はい、メインヒロインなので。というか恋愛対象となるサブヒロインは出す予定は無いので。頑張れますか?
メ:はい!
陸:いい返事です。さて、時間ですね。それではさようなら。次回も見てくださいね。
メ:ありがとうございました!




