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怠惰で勤勉な俺は旅に出る  作者: 渡鳥 陸
遺跡へ続く町フラット
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ギルド登録

「無表情すぎて客がよってこないだろう、敬語は使えるのか?」


 という理由で3店舗全て落ちた。

 言われてみればそうだった。

 住人が飽和状態で仕事が不足気味なのである。店側からすれば使い辛そうな相手を雇うより今回は蹴って次にでも来る普通の人を雇えばいいのである。


 まだ昼前なので、一先ず先ほどの課に戻った。


「ということで他には無いか?」


「他ですか?ございませんよそんなもの、ここで扱ってる中であなたに提供できるのはそれだけです!」


 なんだか少し声をあらげて答えられた。


「そもそもなんで私の所には問題のある人ばっかりしか来ないんですか!?隣もやってるんですよ!?私が変な人相手にしている時に普通の人が来て隣に流れていくのを何度見たことか!」


 なんだか、溜まっていたのが爆発しているみたいだな、とりあえずこのまま話を聞いて発散させるべきか。


「変な人ばっか相手にしているせいで私ばっかり営業の成績が悪くて私が職失いかけているところなんですよ!」


 それは可哀想だな。


「今日だって!一人目はそこら辺走ればすぐバテそうなデブなのに、体動かす仕事就きたいとか言って!二人目だってくそガリガリのくせして力使う仕事に就きたいとか!三人目にいたってはわがまますぎて話聞かないし!」


 どこのゴ○ンクスの○ュージョンの話だ。

 というか、ド○ゴンボールのことは記憶しているのか。

 なにを覚えていて、なにを忘れているのかよくわからない自分の記憶にびっくりする。


「あなたもあなたです!そんな人形みたいに生気の感じられない様な人が接客業なんて無理だと思わなかったんですか!?」


「それは、すまなかった」


「はぁ、もういいです。愚痴を聞いてくださってありがとうございました」


「そうか」


「ですがこちらにご提案できる職が無いのは事実です。ですからもう、身分証を作る意味も合わせて冒険者として、冒険者ギルドに登録したらいいんじゃないですかねぇ」


 なにやら丁寧なのかなげやりなのか分からないような感じでとんでもない提案をされた。


「冒険者?」


「えぇ、冒険者なら毎日では無いにしろ、多少は仕事が存在すると思います」


「それは、俺のような初心者でもか?」


「そうですね。基本中~上級者は遺跡の探索が主な仕事ですから、町の傍での仕事は初心者が行うことが多いようですよ」


「そうか、ならそうしてみる」


「そうですか、それがいいでしょう」


「参考になった、ありがとう」


「どういたしまして」


 そう言ってカウンターの女性の礼。また俺は会釈で返して外へ出た。



 役場を出ると左手の大きな建物、ギルドを目指す。


 開かれている扉をくぐると空気が変わった。

 広々とした空間の奥には3つに区切られたカウンターが並んでいる。

 昼前なせいか人はまばらにしか確認出来ないが、体を動かしていることが分かる体つきの人達が掲示板らしき物を確認している。


 とりあえず一番左のカウンターに向かってみる。


「いらっしゃいませ、クエストのご依頼ですか?」


「いや、冒険者として登録しにきたんだがカウンターはここでいいのか?」


「えぇ、こちらでございます。冒険者登録なら......こちらの紙に記入をお願いします」


 ざっと紙を確認する。

 氏名以外書けるものがない。


「ここにかいてある年齢の欄は書かなくてもいいか?それと、この希望職ってのはなんだ?」


「年齢は必須ではございません。希望職というのはそのままご自身の就きたい戦闘の役職のことでございます。一般的なものはこちらの紙に簡易な説明書きとともに書いてあります。又無理にご記入なさる必要もございません」


「そうか」


 とりあえず名前を書いて提出する。


「トビカゼ レンさまですね。身分証の提示をお願いいたします」


 役場の時と同じように仮入町証を出す。


「仮入町証ですね。確認させていただきます」


 カウンターの女性は何やら丸い水晶の玉を出し仮入町証に翳した。

 先程の役場でも俺が用紙を記入していた間に行っていたのだろうか。

 そんな疑問を抱きつつ眺めていると水晶球が淡く光った。


「確認、完了しました。それでは、こちらがレンさんのギルドカードになります。それと認証用のもう一枚です」


 渡されたカードは鉄の色を思わせるやや黒がかった銀色。

 その表面には何も書かれておらず、どちらもただの一枚の薄い鉄のプレートにしか見えない。


「これは?」


「こちらは、未登録状態のギルドカードでございます。魔力を流していただくことで登録を完了致します。もう一枚はレンさん本人だと確認するためにこちらで管理するカードになります。こちらも一緒に魔力をお流しください」


「魔力を流す……か」


「ステータス表示を行う感覚で行えるようになっておりますので緊張なさらなくても十分ですよ」


「ステータス表示か、それなら出来そうだ」


 右手にギルドカードと証明証を乗せ、その手のひらを上に向けて開く。


「開け、俺を写す鏡。ステータスオープン」


 体の中心から何かが流れだす感覚。

 いつもならそれは手のひらの上で薄い枠状の何かになり、ステータスを写す窓になるはずなのだが、今回は形を作る前に手のひらの二枚の板へと吸い込まれていく。

 徐々にギルドカード上に青い光が迸り始め、それが繋がり文字となる。

 光が収まるころには、一枚の鉄の板だったギルドカードに俺の名前が載り、謎の0という数字と謎のマークが現れた。


「それでは、冒険者及びギルドカードの説明をさせていただきます。まずはギルドカードの説明から。名前はその通りなので省略させていただきます。その下の0の数字ですが、これはランクポイントと申します」


「ランクポイント?」


「ギルドカードには四段ほどのランクアップがございます。ランクが低い順からアイアン、ブロンズ、シルバー、ゴールドです。このランクが高いと、ギルドと提携している店舗で割引をしてもらうことが可能になります。そのランクを上げるためには、ギルドでの依頼をこなしていただく必要があります。基本、入手できるポイントは1クエスト1ポイントで、アイアンランクの場合ですと、300ポイントほど必要になります」


「こっちの変なマークは?」


「こちらは単にこのギルドで登録したというマークです」


「そうか」


「又ギルドカードはステータスの窓にしまえます」


「ステータスの窓にしまう?」


「単に個人の魔力紋を登録するために魔力を流してもらっているのですが、その結果なぜかステータスにしまえるようになるみたいなんです。まぁ、無くし難くなるので良いことなんですが」


「そうなのか」


 とりあえずステータスを出してしまっておく。


「次に、冒険者の仕事ですが、基本はあちらの掲示板に貼ってある紙を持って真ん中の受付カウンターで依頼を受注してください。もし良い物が無い場合はそのままカウンターへ向かってもかまいません。たぶん張り出されていない依頼を紹介してくれるでしょう」


「依頼が完了した時は一番右側のカウンターで報告するのか?」


「その通りです。又ギルドでは依頼品の過剰分や道中等で狩った動物の肉や素材等を買い取りしておりますのでどうぞご利用ください」


「こんなところか?」


「いえ、最後に一つ。わがギルドではお持ちいただいた依頼が実力に見会わない場合カウンター員の判断で受注をお断りすることがございます。死者を減らすための措置なのでご理解をよろしくおねがいします」


「分かった」


「説明は以上になります。ようこそ冒険者の世界へ。ますは山菜取りのクエストをお勧めしますよ」


「いや、そろそろ昼だから一度帰る」


「そうですか。まぁ依頼はいつ受けても問題はありませんいつでもいらしてください」


「あぁ、昼飯を食い終わったら又来る」


「ご利用ありがとうございました」


 女性の礼に対して会釈。

 とりあえず教会へと戻るのだった。


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