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怠惰で勤勉な俺は旅に出る  作者: 渡鳥 陸
プロローグ(脱出)
1/106

邂逅

処女作になります。

思い付いたら書きたくなったのであげました。

毎週の土日に書ければいいなぁという事でよろしくおねがいします


「融合が完了しました」


  ▽ ▽ ▽


 深い眠りの底から引き出されて、俺は目を開ける。しかし、目を開けても俺は闇の中にいた。

 黒く固まった冷たい闇は絡み付き、身動きすらとれない。そうこうしているうちに、意識が遠くなっていった。


  ▽ ▽ ▽


 何度目かの目覚め。

 何時もの様に闇を見ていると、突然、闇に光が走った。

 闇は途端にどろりと溶け始め、俺は流れ出る闇と共に傾き、倒れこむ。


 べたん、と音が響く。


「ひゃっ!何これ、人が出てきた?」


 気がついて辺りを見回すと、冷たい闇は消え、謎の光に照らされた女性がこちらを見ていた。

 彼女は、金色になびく髪を、肩のあたりまで伸ばしていて、少し幼さめで優しげな顔立ちをしていたが、背はそこまで低くはなく、160センチぐらいの高さで、すっきりとしたプロポーションの体の各所を革製のサポーターで覆い、胸に何らかの金属製の胴当を着けていた。


「これ、本当に人間かな?」


「どういう状況かは分からないが、俺は人間だ」


 思わず答える。


「うひゃっ!しゃべった!......ねぇ何でこんなところに裸でいるの?」


 恐る恐る、彼女が問いかけてきた。


 俺は今、裸なのか。

 確かに少し肌寒い。

 それにしても、何故俺がさっきまで固められていたのかは俺のほうが聞きたい。


「全く分からない。そもそも、ここは何処なんだ?」


「ここはファスタ遺跡、地下9層位」


「ファスタ遺跡?」


 外国の遺跡か?


「え?あれ、知らない?七遺跡のファスタ遺跡だよ?」


 七遺跡、ファスタ遺跡、どちらにも思い当たる節はない。


「いや、全く」


 彼女は、深く考えこむ。


「こっちの人じゃないのかな、ねぇ、君どこ出身の何て名前のひと?」


「日本出身の飛風練(とびかぜれん)だ」


 彼女は、首を傾げる。


「ニホン?そんな国聞いたことないなぁ」


 日本を知らない?聞いたことすらない?そんなことあり得るのか?


「私が知らないだけかなぁ......ねぇ、そこってどんな国?」


「日本か?日本は......」


 日本はどんな国だった?

 何かがおかしい、なぜか記憶がすっぽりと抜け落ちた様に日本のことを思い出せない。

 他の記憶もさぐる。

 両親はいた。兄弟はいなかった。友人もいた。会社の同僚もいた。

 しかし、その全ての顔と名前が思い出せない。


「すまない。思い出せないみたいだ」


「え?記憶喪失?」


 彼女が、心配そうな顔をしてから別の方に顔をむける。


「まぁ、こんな物に封じられていたら当然かもね」


 彼女につられて立ち上がりつつ視線を向ける。其処には、俺がいたと思われる部分だけ溶け落ちた跡がある、黒い金属でできた直方体の物体が鎮座していた。


「というか、こんなところに封印されているなんて、本当はヤバい人なんじゃっ......て、ひゃっ!?少しは前を隠しなよ!」


 少し顔を赤らめつつ、彼女は目を隠す。


 そういえば、[人前で裸でいることは恥ずかしい事だ]。本を読むかのように情報だけが脳から送られてくる。羞恥心は感じない。俺は変態だったのか?


「すまないが着るものは無いか?」


「えっと、コートとズボン位ならあるよ、君には私の服の方は入らなそうだしね」


「申し訳ないがいただこう」


 ごわごわした麻のズボンと毛皮のコート貰って着込む。ズボンは緩めな物を横で縛る紐がついていて裾は短いが履けないわけではなかった。

 着てみて思う。全裸からコートの中が上半身全裸になったが変態度がさほど変わらないと。

 そんなことを思いつつ着替え終わると彼女が声をかけてきた。


「とりあえず、ここから出るよ」


「連れて行ってくれるのか?」


「まぁね、丸腰の人を置いていくほど私は薄情じゃないよ」


「ん?それほどにここは危険なのか?」


 俺の質問に彼女はうなずく。


「危険も危険、大危険。凶悪なモンスター蔓延る、最上級危険区域だよ」


「モンスターか」


「だから、とりあえず君がどれくらいできるかステータスを見せてくれない?」


「ステータス?」


「それも忘れてるんだね、じゃあ、とりあえず見ていて、こうするんだよ」


 彼女はそういうと手を前に突き出し、その手のひらを天井に向けた。


「開け、私を写す鏡、その姿かの者に現せ。ステータスオープン」


 彼女の手のひらに薄い青がかった四角い枠が現れてこう写し出される。


 name:メリッサ

 age:非公開

 種族:非公開

 ステータス:非公開

 スキル:(一部非公開)

 短剣術5 体術6 弓術4 隠密4 鷹の目2 

 魔法:ライト3 ファイアボール2 ファイアアロー2


「どう?わかった?なら見せて?」


 これはなんだ?夢か?少なくとも目の前で起きている現象については、地球にはこんなもの無かったと記憶がつげている。


「どうしたの?同じようにするだけだよ?」


「あ......あぁ、やってみる」


 手のひらを上に、集中して。


「開け、俺を写す鏡、その姿かの者に現せ、ステータスオープン」


 俺の手のひらにも薄い青の枠が現れる。


 name:飛風練

 age:0

 種族:人間

 ステータス:蓄積魔力2000/2000

  筋力100 体力100 頑丈100

  器用100 俊敏100 柔軟100

  精神100 魔力100 魔回100

 スキル:なし

 魔法:なし


   ――――O――――

   ――――O――――

   ――――O――――

   ――――O――――

   ――――O――――

   ――――O――――

 怠惰――――O――――勤勉


「なにこれ」


 一言、彼女は信じられないといった感じでつぶやく。


「aeg0てなにこれ。能力も村の一般人と変わらないし、それでいて最大魔力は馬鹿高いし、スキルも無ければ、魔法も持っていない。こんなステータスありえるの?」


「そ、そうか」


 高速で喋りだしたメリッサに、ついていけずに、思わずどもる。


「それに最後のバーは何?こんなの見たことないよ」


 メリッサでさえ知らないバーはこの先起こる騒動の中心となるのだが、今は得体の知れない自分のステータスに気味が悪くなるだけだった。

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