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さぁ、始めようか

本日2話更新しています。

 あー、うん。誰も作者に期待してなかったし。

 この話に普通の恋愛っていうのが存在しないと分かった、清宮 蒼18歳の夏。


「って、阿呆なこと考えている時ではなくて」

 思わず自分に突っ込みを入れながら、歓談をはじめた三人へと向き直った。


「という事で、とにかく来栖をどうにかするべく動こうと思う。このままだと、田所んとこの生徒会の仕事も回らなくなるし何よりも俺がしんどい」

「最後が本音ですね、委員長!」

「土井さんも言うようになったねぇ」

 自分の心情駄々漏れの俺の言葉に、昔は可愛かった土井のツッコミが入る。うん田所、俺も同じ心境だ。


「まぁ関わりたくない俺にまで声を掛けてきたんだから、さっさと潰す算段つけましょー。先に言いますけど、期待されても俺ブレーンタイプじゃないっすからね」

 桑島は、この中では素で通すことに決めたようだ。

「……じゃあ、何のために来たの?」

「ホントですよね」

「辛辣なお言葉賜りました!」

 田所のツッコミが冴えわたっております。

 既に慣れ始めている二人の順応性も凄いと思うが、まぁうん。


 桑島は見た目だけなら、とてもとても頭がよさそうに見える。実際頭はいい。通常の教科書授業などの成績は確かに良いが、そう言った頭の良さがどうのこうのではない。

「俺は、良くも悪くもNo.2の性質なもんで」

「あー、そういう事なの。え、でもじゃぁなんで次期風紀委員長候補?」

 途中から俺に視線を向けてきた田所に、少し肩を竦めて力を抜く。

「本能的な危機察知能力がずば抜けてるから。課題を出せば、結果を出すためにありとあらゆる手を使う。ブレーンタイプじゃないけど、ブレーンがいれば桑島程結果を出す奴はいないってこと」

「で、来年の肝心なブレーンは?」

「それは秘密。すまん」

 実は、桑島が風紀委員長に決まったのには、ちょっとした経緯がある。もともとは違う生徒を候補としてあげていたのだが、家庭の事情で海外に留学してしまったのだ。

 三年時には戻ってくるのだが、そこでいきなり委員長は心もとない。そうしたら、その友人である桑島本人が自分がやると名乗りを上げた。

 条件はその生徒が留学から帰ってきたら、無条件で風紀委員会副委員長にする事。それだけ。


 俺はどちらとも面識があったし、面倒な桑島と三年時に顔を突き合わせなくてもいいという条件に了承した。


 田所は、ふうん……と呟くと頷いた。

「生徒会も内緒にしてることあるしね、仕方ないよねぇ。じゃぁ、とりあえず俺の考えを聞いてくれる?」

「考え?」


 三人の声が、ハモる。

 それに笑みを零してから、田所は人差し指を立てた。



「難攻不落の壁が崩れた時が、一番の攻め時ってこと。あっちもこっちも……な?」



 いい笑顔で言い放った田所の言葉に、少し考えつつも……なるほど……と頷く。ただ、それをどう実行に移すのかわからない。どこにも牙城を崩すきっかけが見つからない。

 土井と桑島は、言ってることがまったくわからないらしくぽかんと口を開けている。

「え?」

「は?」

 田所はそんな俺達を見遣ると、面白そうに肩を揺らしながら生徒手帳の校内見取り図のページを開いた。


「とりあえず明日の昼休憩時間、ここに集合してもらっていい? 多分、とっかかり分かると思うよ」

 そう言って田所が示したのは、食堂や購買のある別校舎から一年の教室に向かう廊下……の真向かいにある校舎の二階。

「俺の考えが間違っていなければ、キーパーソン、確定できるよ」

「キーパーソン?」

「そ、……所謂サポートキャラ」


 ますます意味が分からなかったけれど、風紀委員三人は各々頷いた。

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