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神なき世界の創り方―神を信じた幼馴染と、神を殺す兵器を使う俺―  作者: 知識渇望


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第31話 八月中頃

任務が続いていた。


八月に入ってから、アラタの部隊は週に三度のペースで前線に出ていた。北関東方面の神徒連盟が動きを活発にしていた。補給路の確保と拠点の拡張を同時に進めている様子で、テクノフォース側は各地点で対応に追われていた。


八月十二日、埼玉北部の廃工場地帯での任務が来た。

神徒連盟が工場跡の変電施設を占拠しようとしているという情報だった。


施設を使用不能にするのではなく、制圧して確保することが目的だった。変電施設は生きたまま取り返す。制圧と確保を両立させる条件だった。


「難しい条件だな」と加藤が出発前に言った。三十代の男で、今年の春から部隊に加わった人間だった。実戦経験は長かった。口数は少なかったが、言う時は正確だった。


「施設を壊すなら話は簡単だ」とライカが言った。


「できないから戦術を使う。それだけだ」


部隊は八人。合流部隊なしの単独任務だった。


廃工場に着いたのは昼過ぎだった。夏の日差しが金属の壁に反射していた。工場はかつて何かを製造していたらしかったが、今は稼働していない。


錆が浮いた壁。割れた窓ガラス。広い駐車場跡には夏草が生えていた。その奥、フェンスを挟んだ先に現役の変電施設があった。


HUDが熱源を捉えた。建物内部に五体。工場の屋上に二体。変電施設の周囲に三体。合計十体。


「多い」と加藤が言った。


「制圧が目的ならこれだけいれば守れると思ったのだろう」とライカが答えた。


「ただし内と外に分散している。順番に処理できる」


ライカが指示を出した。


「まず屋上の二体を潰す。屋上を取れれば内部への対処が楽になる。アラタはドローンで牽制しながら屋上に上がれ。加藤と三名は東の出口を押さえろ。内部から出てこさせない。私と残り二名が西側から変電施設周囲の三体を処理する」


「変電施設周囲の三体を先に取ることで、内部の五体が動こうとする。そこで東の出口を押さえるということですね」


「ああ、そうだ」


散開した。


アラタはドローンを三基展開した。一基を東側の出口付近に潜ませた。残り二基を上空に向けた。屋上に浮いている二体に向けてレーザーを走らせた。

二体が反応した。一体がアラタを視認した。光の槍を投げてきた。


建物の陰に身を引いた。槍が壁を抉った。コンクリートの破片が散った。

もう一体が翼を広げて降下してくる気配があった。屋上から出てきた。空中に出た。


二体が空中にいる。こちらは地上だ。上から見下ろされている状況は不利だった。


ブースターを起動した。爆発的な加速が体を押した。斜め上方に跳んだ。工場の壁を蹴って高度を稼いだ。


降下してきた一体と目線が同じ高さになった瞬間、アームキャノンを二発撃った。一発が障壁に弾かれた。もう一発が翼を掠めた。


戦士が体勢を崩した。ドローン二基が集中した。障壁に二発、三発、四発と当てた。障壁が消えた。

アームキャノンを高出力モードに切り替えた。チャージの二秒、体勢を崩した戦士との距離を詰めながら壁を使って移動した。


ガードしていたがその上から撃った。


直撃した。戦士が工場の屋根に落ちた。動かなくなった。


残り一体が上空から槍を二本連続で投げてきた。

一本は左に跳んで回避した。二本目が右足のアーマーを掠めた。バランスが崩れた。着地の瞬間に体が傾いた。膝をついた。


一秒で立ち上がった。

残り一体が距離を縮めてくる。光の短剣を両手に持っていた。速かった。翼の動きが慣れていた。

ブレードアームを展開した。短剣を弾いた。金属音が響いた。そのまま押し合いになった。力では互角だった。


ドローンを一基、斜め後ろから回り込ませた。障壁に当てた。一回。二回。戦士の注意が少し乱れた。


その瞬間、アラタはブレードアームを引いて代わりにアームキャノンを接近距離で撃った。

障壁に当たった。三回目だった。

もう一発。四回目。障壁が消えた。


ブレードアームで胴部を打った。戦士が吹き飛んで、工場の外壁に叩きつけられた。落下した。意識を失った様子だった。

屋上は制圧した。


「屋上完了」と無線に入れた。


「右足に軽微な損傷あり。機能に支障なし」


「変電施設周囲、三体処理完了」とライカの声が来た。


「内部の確認を頼む」


内部の五体はどうなっているか。東の出口を押さえている加藤に無線を入れた。


「こちら出口付近に動きなし」と加藤が返した。


「出てこようとした一体を制圧した。内部に四体残っている」


残り四体。屋上を取られたことで内部の戦士たちは状況を把握しているはずだった。次の動きを待っているか、あるいは別の出口を探しているか。


ライカが西側から指示を出した。


「内部に入る。アラタは屋上から天窓を使え。加藤は東口から同時に突入。タイミングは私の合図で合わせる」


「了解」


天窓は屋上の中央にあった。鉄製のフレームが錆びていた。ガラスは割れていた。下を覗いた。暗かった。HUDの熱源探知を起動した。四体の位置が浮かんだ。西側に二体、中央に一体、東の出口付近に一体。


「準備完了」と報告した。


「入れ」


飛び込んだ。

工場の内部は広かった。かつて機械が並んでいたらしい場所で、床にボルトの痕が並んでいた。天井が高い。光が少ない。


着地した瞬間、西側の一体が反応した。光の剣を出して突っ込んできた。

距離は二十メートル。


ドローン二基を向けた。障壁に当てた。一回。戦士が止まらずに来る。二回。それでも来る。三回。ようやく足が止まった。ガードしようとしていた。しかし間に合わず四回。障壁が消えた。


アームキャノンを低出力で撃った。今度は光の盾を出せていた。戦士が吹き飛んで、機械の残骸に当たった。


その瞬間、背後から光の槍が来た。

振り向く時間がなかった。

シールドを展開した。間に合った。槍がシールドに当たって弾かれた。衝撃が腕に走った。シールドのエネルギーが消耗した。


振り向いた。中央にいた一体が槍を構えていた。距離は十メートル。近い。


ドローンが間に合わない。


ブレードアームで行く。


走った。相手も構えた。光の槍と光の剣を両方出している。三メートルまで詰めた瞬間、相手が上に跳んだ。天井に向けてブースターを使った。翼が広がった。


上だ。


アラタは止まって上を見た。天井付近に相手が浮いている。高度七メートル。槍を構えた。

投げてくる前に動いた。横に走った。槍が床に刺さった。


ドローン二基を天井に向けた。障壁に当てた。一回。二回。相手が降下してくる。三回。着地する前に四回目が当たった。障壁が消えた。

着地した瞬間にアームキャノンを低出力で撃った。直撃した。

東の方向からライカの声がした。


「内部制圧完了。全員確認しろ」


アラタは周囲を見渡した。工場内に動くものはなかった。


「異常なし」


制圧した。変電施設も無事だった。死者は出なかった。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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