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神なき世界の創り方―神を信じた幼馴染と、神を殺す兵器を使う俺―  作者: 知識渇望


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第26話 夏の続き

七月の中旬に入った最初の任務は、栃木の山岳地帯だった。


山を越えた先に神徒連盟の中継拠点があるという情報だった。補給路の一つで、前線への物資と人員が通過している場所らしい。それを潰す。難度は中程度とされていたが、地形が複雑で、空中からの奇襲を受けやすい地形だった。

部隊は今回も十二人。ライカが指揮を取った。合流した別部隊の隊長は橘という三十代の男だった。落ち着いた物言いをする人間で、実戦経験が長そうだった。

アラタは出発前のブリーフィングで地図を見た。目標地点は山の中腹にある。南から谷沿いに登るルートと、東の稜線から回り込むルートがある。南ルートは速いが上空が開けていて空中からの攻撃を受けやすい。東ルートは遅いが木々が密集していて遮蔽になる。


「東ルートで行く」とライカが言った。


「速度より安全を取る。今回は敵を制圧することが目的じゃない。あくまで、拠点を使用不能にして退く。長居はしない」


橘が地図を指した。


「合流点はここ。東ルート組と南ルート組で挟む形にしたい」


「南ルートに人を割けるか」


「四人。牽制に使う。本命は東から」


ライカは少し考えた。


「わかった。南は橘隊の四人。東は私たちと残りで進む。合図は無線で出す」


ブリーフィングが終わった。アラタはスーツの点検をした。アームキャノン、ブレードアーム、ドローン四基。全部正常だった。背部ブースターの燃料も満タンだった。


出発した。


山道を進んだ。夏の山は緑が濃かった。木々が密集していて、少し先が見えなかった。光がフィルターされて、薄暗かった。地面は湿っていた。最近雨が降ったらしく、葉に水滴が残っていた。


一時間歩いた。目標まで、あと五百メートルという位置に来た時、HUDが熱源を捉えた。

前方。二体。高度三十メートル付近。木々の上にいる。

「止まれ」とアラタは小声で無線に入れた。

前後の部隊員が止まった。ライカが隣に来た。


「見えた」


「二体。上にいる。哨戒かもしれない」


「処理するか、迂回するか」


「処理します。迂回は時間がかかりすぎる。ここで音を出しても、方向からすれば南ルート組の動きと混同させられます」


ライカは少し考えた。


「いいだろう。ただし一発で仕留めろ。取り逃がすな」


アラタはドローンを一基だけ展開した。木々の隙間から、音を立てずに上昇させた。樹冠の手前で止めた。

HUDがドローンの視点を共有した。樹冠の上、三十メートル先に二体の戦士が並んで浮いていた。翼を小さく動かしながら、南の方角を見ているようだった。南ルート組の動きを警戒しているのか、こちらには気づいていなかった。


距離を測った。二十五メートル。

アームキャノンを通常弾モードに設定した。残り三基のドローンも展開した。四基を二体に割り当てた。二基ずつ。一発では障壁を抜けない。連続して当てて消耗させてから、自分が仕留める。

カウントを三秒頭の中で数えた。

撃った。

四基のレーザーが同時に走った。

二体が同時に反応した。障壁が光った。弾かれた。しかし注意がこちらに向いた。振り返った瞬間、アラタはブースターを起動して樹冠を突き破った。


一体が光の短剣を出した。距離は十メートル。

アームキャノンを二発。一発が障壁に弾かれた。もう一発が右翼の付け根を打った。戦士がバランスを崩した。ドローンが残りの障壁を削った。そして、障壁が消えた。

アームキャノンを高出力モードに切り替えた。チャージに二秒。

その二秒の間に、戦士がアラタに向かって突っ込んできた。翼を畳んで、体当たりのような形で。

回避しようとしたが、間に合わなかった。肩に衝撃が走った。スーツのアーマーが受けた。ダメージ量が出た。軽微だった。


着地と同時にアームキャノンを撃った。

戦士は光の盾を出して防御形態になった。高出力弾が直撃した。戦士が吹き飛んだ。木の幹に叩きつけられて、動かなくなった。


もう一体は、ライカが処理していた。ブレードアームで障壁を四回削って、最後の打撃を胴部に当てていた。戦士が落下した。意識を失った様子だった。近接で圧倒する姿は圧巻だった。


「終わった」とライカが短く言った。

アラタは肩の状態を確認した。アーマーに凹みがあった。機能に支障はなかった。

「問題ない。進む」とアラタは言った。

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