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神なき世界の創り方―神を信じた幼馴染と、神を殺す兵器を使う俺―  作者: 知識渇望


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第14話 Project DS

篠田が死んだ翌週、アラタは呼び出しを受けた。


場所は東京本部の上層階だった。アラタがいつも使う訓練施設や作戦室とは違う、静かなフロアだった。廊下に人が少なかった。カーペットが敷いてあった。


案内された部屋に入ると、一人の男が椅子に座っていた。


五十代前後。白髪交じりの短い髪。細い眼鏡。スーツを着ていたが、軍人というより研究者に見えた。手元に端末が何台も並んでいた。


「天城アラタだな」と男は言った。


「はい」


「座れ」


アラタは椅子に座った。男は端末から目を離さずに言った。


「黒崎グレンだ。Project DSの主任を担当している」


Project DS。アラタはその名前を聞いたことがなかった。


「知らないか」


「はい」


「知らなくて当然だ。極秘扱いだ」黒崎はようやく端末から目を上げた。「Deicide System。神を消滅させる装置の開発プロジェクトだ」


アラタは少し間を置いた。


「神を消滅させる」


「そうだ」


「そんなこと可能なんですか?」


「現在開発中だ。理論上は可能だという段階まで来ている」黒崎は端末を一台手に取った。

「神はエネルギーの塊だ。信仰や感情などが長い時間をかけて蓄積して顕現した存在。エネルギーには構造がある。構造を解析して、循環を遮断すれば消滅する」


「なぜ俺に話すのですか?」


「Project DSには作戦部隊が必要だ。装置を使う瞬間に、周囲を制圧して神を誘導する部隊だ。お前をその部隊に入れたい」


アラタは黒崎を見た。「なぜ俺なのですか?」


「適性だ。お前のECS適性スコアと戦闘データを見た。判断が速い。感情で動かない。情報処理能力が高い。作戦部隊に必要な条件を全部持っている」黒崎は端末を置いた。

「それと、お前の父親からも推薦があった」


「父が」


「テクノフォースでこのプロジェクトを支持している人間の一人だ」


アラタは少し考えた。父が何も言わなかった理由がわかった気がした。面会室で、オーバードライブのことだけ話した。このプロジェクトについては話さなかった。直接、本人に話させるつもりだったのだろう。


「内容を教えてほしい」とアラタは言った。


黒崎は三十分かけて説明した。


Deicide Systemは三段階で作動する。まず神のエネルギー構造を拘束する。次に地上に引き下ろす。最後にエネルギー循環を遮断して消滅させる。


使用条件は一つだけ。神が完全顕現した瞬間にしか使えない。完全顕現前では、エネルギーが実体を持たないため拘束できない。


「神が顕現するのを待つということですか?」とアラタは聞いた。


「そうだ。神が顕現したその瞬間を狙う。だから作戦部隊が必要だ。顕現と同時に周囲を制圧して、装置を起動する」


「神が顕現したら、神徒連盟の戦士も本気で来るのでは?」


「当然だ。それを抑えるのが作戦部隊の仕事だ」黒崎は静かに言った。

「難易度は最高だ。死ぬ可能性も高い」


アラタは少し考えた。

「神が消えたら、神徒連盟の戦士の力はどうなる」


「力を失う。翼も、光の武装も、全て消える。戦士の力は神に依存しているからな」黒崎は短く答えた。


アラタは頷いた。それ以上は聞かなかった。今はまだ、それ以上考える必要がないと思った。


「参加するかどうかは今すぐ決めなくていい」と黒崎は言った。

「ただ、知っておいてほしかった。これが戦争の終わらせ方だ」


アラタは立ち上がった。


「一つ聞いても?」


「なんだ」


「あなたはなぜこのプロジェクトをやっているのですか?」


黒崎は少し間を置いた。珍しい質問だという顔をした。

「妻と娘を、神徒連盟の奇跡戦闘で失った。神はそれを止めなかった。だから俺は決めた。神は存在しても、人間を救わない。ならば消える方がいい」


アラタは頷いた。それ以上は聞かなかった。


部屋を出て、廊下を歩いた。


エレベーターを待ちながら、アラタは考えた。


神が消える。神徒連盟の力が消える。戦争が終わる。


そこまで考えて、止めた。まだ答えを出すべき段階ではなかった。


エレベーターが来た。そしてアラタは乗り込んだ。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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