おっさん×幼女6:ありがたがられるとっても
「××さん、×××さんが今日おやすみなの。飼育小屋のお掃除と餌を頼めませんか?」
「…………はぃ」
「ありがとう、お願いします」
教室で朝日直だったので担任の若い女性に頼まれる、たまたま飼育係の1人が休みでたまたま日直だった。
やりたくない、べつに動物は好きじゃない、臭いし…朝から嫌な気分だ。
「俺が御者するからあんたは寝てていい」
「そ、それは……」
「まともに寝れてないんだろ?それと……」
「は、はい」
「悪いが金を出すから先ずは風呂に入ってきてくれ」
「う……すみません」
チャレーと合流して馬車は馬が2頭立てで思ったより荷台がしっかりしているし幌も丈夫そうだ、これなら中でしっかり休める……後は…チャレーの汚れと風呂に入れていないようで臭いもきつい、金を渡し公衆浴場で洗ってきてくれと伝え、それでついでに買って来た古着も渡す。
チャレーは申し訳なさそうに金と服を受け取る、ゆっくりしっかり洗ってからで良いとバンクはチャレーを見送り荷物を置いて馬車の番を行う。
馬は黒毛でつぶらな瞳の大型な馬だが、痩せているので後で森でたらふく食わせてやろうと決める、この時間から出ればすぐに夜になり野宿になるがチャレーの懐具合を思うと宿は取れないだろう、バンクが金を出すのもおかしな話(風呂代を出すのもおかしいが)。
荷台には木箱が3つ程、後はがらんとしていて物寂しい。
馬車で旅をすると言いうのもそうだが、バンクにはもう1つ目的がある、上手くいけばの話しだ。
「俺もあんまり動物すきじゃないよ、好かれないんだもん」
バンクは深く息を吐く、何故だが昔から動物に嫌われていてバンクも苦手意識を持っていたが冒険者は馬に乗れないと話が始まらない。
「自転車、バイク、車…いいなあ」
バンクは御者台に座り馬の背中を眺めながら日本での記憶を思い出す、ピンクの子ども用の自転車を買って貰った記憶を思い起こす、いいなーとバンクは思ってぼんやりしていると小奇麗になったチャレーが顔を出す、けっこう時間が経っていたらしい、荷台に乗れとバンクが言い馬車を動かした…。
「今夜はここで寝る、俺が見張りをしているから寝ててくれ」
馬車を走らせ数時間後、もう暗いし馬に草を思いきり食べさせたいので早めに馬車を停める。
「ぼ、僕も…と言いたい所ですが……ありがとうございます」
「依頼で1週間碌に寝ない事もあるから気にするな」
「は、はい…それに食事まで」
「いいって」
馬の手綱を木に結び馬達は草を夢中食べ、水魔法で出した水をバケツから飲む。
バンクは貰ったパンと干し肉と果物をチャレーと分け合い、水魔法で出した水を葉で作ったコップに入れて飲む。
チャレーは恐縮しつつ腹が減っているのだろう、夢中で食べている。
見張りついでに夜目が利くから後で採取でもして、食べられる物を探そうと決め干した芋も渡した。
「う…う…こんなに優しくして貰えて……」
「あんた人を信じすぎだろう、飯をくれたやつが善人だとは限らない。それで油断させるかもしれないだろ?」
「ふ……バンクさんはそんな人じゃないです、商売の才能も人を見る目も無いかもしれない僕ですがバンクさんは善良な人だと信じています!」
「そうかい」
そこだけは力強くはっきり強く言い切ったチャレーに嘆息しつつ、早く寝ろと伝えチャレーは荷台に潜り込んだ。
「………」
馬たちは寝たり起きたり草を食べたりを繰り返し、バンクは焚火に枝を放り込む。
遠くで獣の唸り声、虫の音、様々な音と気配を感じながら夜の森別に嫌いではないと思う。
人間と関わって生きている方が息が詰まる、あの子もそうだったのだろう。
独りが好きなようだった、分かる独りで何かしていた方が良い。
明け方に採取に行こうと決め、それまで懐からあやとりの糸を出しあやとりを始める。
こういう時間が好きだ、バンクは笑いながらあやとりを夢中で行った。
「うーん、おはようございます……」
「おはよう、飯出来てるから食べる?」
「わ、わ、いただきます!」
朝、良く寝たチャレーがのそのそ起き出せば、焚火に木の枝で刺したキノコ串が用意されチャレーは涎を垂らしながらバンクが渡してくれた串を受け取りハフハフと夢中で食べる。
「すぐ傍に沢山育ってたからまだまだある」
「ひゃ、うま、ひゃい、おいしい」
「ん、うまい」
馬たちは草を食べ、バンクも水で口を湿らせキノコを食べる、塩と少しの香辛料が良い味を出していて味に満足する、昼や夜の分もと沢山焼いているが結構減ってしまうなと思いながらキノコを堪能した。
「ありがとうございます、本当に……ここまでして貰って」
「いや、気にしないでくれ。さ、行こう」
「寝て下さい、道も分かりますから……」
「いや、まだ全然平気だ。疲れたら言うからその時頼むよ」
「わかりました」
朝食を終え余ったキノコを葉に包んでおく、焚火の後始末をすればチャレーが交代を申し出るがまだ平気だとバンクが言いチャレーはまた荷台に向かう。
バンクは歯がすーとする葉をチャレーにも渡して自分も噛みながら、馬車を動かした…。




