おっさん×幼女5:ギルドはうるさい
「………」
「××ちゃん、またおりがみしてるー宿題みせてー」
「………」
「ありがとー」
部屋で折り紙、鶴とか鳥を折っているとやって来て勝手にランドセルを漁ってノートを持って行く、何も言わない、やらないのもやるのも自分達の勝手、宿題を写していくのを背中に感じながら黙々と色とりどりの鶴や鳥を折っていった。
「いいな……っと依頼依頼は…」
《アルテレシア》には様々なギルドがある、今バンクが足を運んでいるのは普通の冒険者ギルド。
小さい国や街だとまとめて1つだったり、大きい国であればあるほど様々なギルドがある。
この国は大きいので幾つかのギルドがある、バンクは護衛任務などが多い冒険者ギルドを選んでやって来たがうるさいし混雑していてなんだか息苦しい。
「お、《絶断》じゃねぇか。いつものあのでかい戦斧がねぇから気づかなかったぜ」
「ああ、売ったから」
「は?」
掲示板を眺めるバンクに声を掛けて来たのはニヤケけた若い男、背中に盾と剣を背負っている姿は様になっていた。
バンクは以前受けた合同任務のパーティのリーダーだと気づて挨拶をする、戦斧は売ったと言うと相手は目をぱちくりとさせているのでなんだと小首を傾げた。
「あれ、業物じゃないのか?付与も在っただろう?」
「いや、古道具屋で買って手入れしただけだ。可愛くないしあれ……重いし」
「はあ?」
「なんでもない」
「どこに売ったんだよ!?」
「隣の国の馴染みの道具屋」
「あの店か、っち、行くぞ」
「え、はあ!?」
「行くって今から?」
「ええ、依頼は?」
「それどころじゃねえだろ!」
小さい声で可愛くないし重いと言った言葉は聞こえなかったようだが、売った店を聞き出口へ向かうリーダーに他のメンバーが驚きながら後をついて行く、忙しないしうるさいなーとバンクは見送った。
「《ツィプラ商会》のオーナーさん、この額じゃ南の現在盗賊が出ている道の護衛は誰も引き受けませんよ」
「そ、そうでしょうけれど……今これしか…」
「他の商会と合同で依頼を出すか…商会ギルドへ行った方がいいのでは」
「それは……」
掲示板を眺めていると聞こえてくる受付での会話、ひょろひょろとした優男、身なりも商人にしては良くはない、受付の職員も冷淡な対応だった。
こういう場合は大体訳ありだろう、バンクは暫し耳を傾けておく。
「あまり商品も先立つ物もなく…とにかく国へ戻りたいんです」
「でしょうね、ですが厳しいですよ。この額では」
優男の商人は非常に困っている、バンクは馬車があれば良いし、小遣い程度の報酬でも良いかと声を掛けてみる事にした。
「なあ、その依頼俺が受けてもいいけど」
「本当ですか!」
「馬車はある?」
「はい、馬車しかありません……」
「この方の依頼はここから馬車で3日程の南の街への護衛依頼です、任務達成で全て込み2万ロネです」
「あーそれは誰も受けないな」
「う……友人に商品と金を騙し取られてしまい……何故か商人ギルドや他の商会には僕が悪いと噂を流されてしまって………」
受付の男が冷ややかに報酬を告げ、それじゃパーティも雇えない上に1人雇えたとしても装備や食料で赤字だ。
だが、バンクは馬車に乗れればいいからと今にでも泣きそうな男に同情心は湧かないが引き受ける事にした。
「俺は銀級バンクだ、あんたの護衛を引き受ける。2万でいい」
「ほ、ほんとうですか!僕は《ツィプラ商会》のオーナーと言っても個人でやってます、チャレー・ツィプラです!」
「では依頼成立ですね。個人間で受けますか?その際何かあっても一切ギルドは関与しませんが」
「そうだな、あんた手数料を払う余裕もないだろう」
「はい、お恥ずかしいですが……」
依頼は個人間でも出せ受ける事が出来るが、野盗やダンジョン等の不慮の事故に遭っても捜索など一切しない、デメリットメリットはあるが決して安くはない手数料支払わなくて済むならチャレーにはありがたいだろう、後は個人間でと素気無くされ外へ出る事にした。
「俺は宿を引き払えばすぐに出れる」
「ぼ、僕も早い方が良いので…宿に泊まる金も…」
「分かった、2時間後に街の出口で落ち合おう」
「はい、はい!よろしくお願いします」
馬車と馬の餌も金が掛かる、さっさと自分の街に戻りたいだろうチャレーの意図を汲み一旦バンクたちは分かれて宿へ向かった。
「干し肉と保存食、足りなくなったら森で狩りをするか」
宿へ向かい出る事を伝え荷物を引き上げると、女将から洗濯物を受け取り子ども達に見送られその上パンも貰えたのでチップを支払い宿を後にする。
後は市場で保存食を……まあ、いいかとチャレーの分も購入すると決めた。
干し肉と干した芋と干し果物、保存の利く果物にそのまま食べられる豆など3日分を2人分購入する。
痩せたお人好しそうなチャレー、商人は時に駆け引きも行う、得をするのに騙し合いも行われるシビアな世界だが街に着いたら他の道を探した方がいいかもなとバンクは背負子に剣に食料が詰まった布袋を手に街の出口に向かった…。




