おっさん×幼女4:たくさん食べたい
「××ちゃん、これあげる」
「こら!嫌いな物をあげないの」
「でも、××ちゃんこれ好きだってー」
「………食べる」
食卓に乗った出来立ての食事、温かいご飯に味噌汁にキノコと豚肉のバター醤油炒めともやしときゅうりの酢の物、キノコを箸で皿に移動させるのを咎められ口を尖らせるが乗せられた方はそれを食べる、キノコが好きだから良い、母親は次はちゃんと食べなさいと言いう、好き嫌いは特にないからなんでも良い、母親のご飯は美味しいと思う。
「………」
「お兄さん、注文は?」
「あ、えと、キノコソテーとパンとスープに果実水」
「おや、酒はいいのかい?前来た時飲んでなかったかかい?」
「あーうん、今日はいい」
「はいよ」
この街に以前来た時に立ち寄った食堂、女将はどうやらバンクの顔を覚えていたらしく注文のついでに酒はと訊ねバンクはそういう気分じゃないなと首を振った。
記憶の中のあの豚肉とキノコのバター醤油炒めすごく美味しかった、もう1度食べたいなと思いながら注文が来るのを待つ。
食堂は賑わっている、客は主に冒険者や旅人だ住人、貴族や高位商人金や貴族に認められ地位がある者たちは金を出し高い食事を食らう、金があるだけじゃ食えない物がこの《アルテレシア》にわんさか在る。
「お待ちど、1,500ロネだよ」
「どうも」
注文が到着するのと同時に会計をする、商品と金の同時交換、バンクは懐から革袋を出し金を出し女将が受け取る、チップも付ける。
湯気立つキノコソテーに固いパンと温いスープに、生ぬるい果実を絞った水、フォークでソテーを口に入れると香辛料と塩、最低限の味付けで物足りない、醤油や味噌が恋しい。
バンクは無言で食べる、スープに浸さないと固いパンも記憶が戻るまではご馳走だった。
熱いものは熱く冷たい物は冷たくそれが日本では当たり前だった、当たり前の事が世界が変われば当たり前ではない。
「……………」
食事を済ませる全く物足りない、何処か屋台で追加して戻ろうと食堂を後にした。
外はもう深い夜、足元の至る所に魔石が埋め込まれ足元は明るい、良く出来ていると感心しながら歩く足元が夜明るいと安心する。
夜空を見上げると多くの星が瞬く、日本のように星座や迷信はない、あればいいのにとバンクは考えながら歩いた…。
屋台で適当に肉串と干した芋を買い宿に戻り空いているシャワー借りる、石鹸や髪用の石鹸所謂シャンプーも在る、それを別途金を払う1回分に削った物とタオルを女将から貰いシャワー室へ向かった。
シャワー室は年季が入っているが手入れが行き届いた物でバンクは嬉しい、シャワー室は木で仕切られ籠に入れた服を水が掛かからない正面に置いておく、部屋以外の荷物の管理は自己責任だ。
壁に埋め込まれた魔石に魔力を注げば天井から温い湯が出てくる、数分湯がでるのでそれで髪を濡らしタオルを濡らし髪用石鹸で髪を泡立て、タオルを泡立て湯が止まったら全身を洗う、泡立ちも悪く匂いも良くはない。
身体の至る所に細かい傷や古い傷跡在る身体、もう老いに向っていると言っても過言ではない使い古した肉体、また死んだら他に転生するのだろうか。
「また日本がいいな」
こんな世界だ長生きは出来ないだろう、また死んでもし転生するなら日本に戻りたい。
身体を洗い、また湯を出し身体の泡を流していく、他の客はもっと遅い時間に来るだろう、本当は熱い湯に浸かって身体を休めたい所だがそれはまたの機会にし自室へと引き上げた。
「から……」
部屋に戻り肉串を食べると香辛料の掛け過ぎか辛い、備え付けの水差しから水を飲む。
干した芋は甘みがあって美味いので口直しで食べる、以前は夜食など食べなかったが前世を思い出すと趣向や生活習慣も変わってしまうのか。
「ふう、なんだかまだ食べたいな…」
満腹感が来ない、でも食べ過ぎは良くないと自分に言い聞かせて途中で採取していた白い葉、歯磨きの代わりに噛むとスーとする葉を加えてよく噛む。
「けっこう好きな味なんだよなこれ」
歯ブラシも一応あるにはあるが、材質が硬いので専らバンクはこれを使っている、ガムのような物だ。
とにかく良く噛む、全ての葉で噛みのみ込んで水を飲み後は寝るだけだ。
寝れる時に寝る、食べられる時に食べる、それが冒険者や傭兵の鉄則だった。
翌日宿の朝食は具沢山スープに焼きたてのパンと果物、これは嬉しいとバンクは内心ではしゃぎながらパンとスープを別料金を支払いお代わりをする、スープは野菜が柔らかくパンもふわりと香り果物も小さな緑色の果実で皮ごと食べられ瑞々しい、やはり温かい食事は嬉しい。
厨房では女将と店主がせっせとスープとパンを用意し、子ども達が世話しなく運んだり片付けたりと手伝っている。
食堂には他の客たち冒険者や商人もいて席は埋まっている、彼らは旅の話しや依頼やこの近辺の話しをしているのでそれに耳を傾けつつ情報を収集しながらも食事を楽しみバンクは満足して礼を言い冒険者ギルドへ向かった。




