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グリミーは想像を越えてくる。

2023年12月15日(金)


あれから3ヶ月が過ぎた。グリミーこと東藤への処分はなかった。というよりは人手不足なので辞められても補充ができないから、うやむやにしたかったのではないだろうか。


ヒアリングは全員にしたというのは本当らしい。大半はグリミーが大沢君にしたことはひどいと答えたということだ。若干名は別にいいんじゃない的に答えた人もいたとのことだ。


夜間作業員の仕事ぶりについては、特に意見や要望はなかったとのこと。中には村上に言われ続けてたから、村上の言ってることが正しいと思いこんでいたという話はあったらしい。


牽制になったのではないだろうか。


その反面、今村は夜間作業員のことを全員にヒアリングして、草加部に対して疑念をもつことになった。何人かは草加部を不当な区別で差別的に攻撃をしたことは間違いないが、全員がそれに感化されていたわけではない。むしろ、それは少数派だった。

草加部が言っていたことは嘘ではないが、被害妄想的に実際よりも過大に感じてしまったと考えられなくもない。


ただ、差別的に攻撃した者がいるのは確かだ。


それと、ソシオパスとか社会病質者という聞き慣れない言葉も出てきたので疑心暗鬼にもなっていた。


グリミー自身は聞くところによると、しばらくは大人しかったらしい。


でも大沢君が教えてくれていた、

“荷降ろしは草加部が勝手にやってるだけだから”

という吹聴は続けているらしい。


草加部が提案したものに従ってる感が許せないのだろう。


グリミーに感化された林は、草加部がおかしくしているものと信じきって、草加部を無視して仕事をするようになっていった。まったく連携が取れない。草加部が大沢君に指示を出すと、それを否定しに行く有り様だった。


草加部は荷降ろしをしていると罪悪感を抱くようになっていった。


林は草加部の指示には従わなかった。


だから、草加部が休みの時は誰も手伝わないのだ。


そんな状態をグリミー7号の榊は、めんどくさく感じていた。イラつきも見せるようになった。


草加部も林に対してイラついていた。


そして遂に草加部はキレた。


「おいっ林!これからの時間は日勤の時間帯なんだから、今度から日勤がやればいいんじゃないか?」

「はい、いいですよ。」

「よし、そうしよう。決めた!」


それを見ていた大型ドライバーの榊が、


「もう、いいから!」と言って乱暴に荷降ろしを始めた。


「なんでですか?」

「めんどくせえんだよ!」

「私がですか?」

「おめえらの仕事してる雰囲気が!本当にいいから!」

「いや、とりあえず決めたことなんで!」

「本当に決めたのかよ!やってんのは草加部さんだけだよ。あんたが勝手にやってんじゃないの?」

「それは違う!」

「じゃあ、どうしてそういうふうに聞こえてくるんだ。」

「え?なにそれ?」


“グリミーが吹聴してる言葉だ”


「本当にいいから!」


草加部の頭をよぎった。


欺瞞(ぎまん)


“本当に想像を越えてくる。”


“でも、いい機会だ。線引きのチャンスかも。”


「分かりました。そこまで仰るのでしたら。ただ、私が勝手にやり始めたことじゃありませんから。」

「うるせえよ!さっさとあっち行けよ!」


草加部はコの字に向かった。グリミー民族の目線が刺さってきた。でも、前ほどではなかった。


キーウキウキッキー

ウキウキウッキキー

モーモー


仕分けしながら考えた。グリミーには結界を張った。シフトもずらしている。


「大沢君、荷降ろしの手伝いはいらないとのことだ。」

「どうかしたんですか?」

「いや、分からない。榊さんがめんどくさく感じるのもよく分かる。その通りで作業員側にも問題があると思う。」

「問題ですか?」

「何か見えない力が働いてる感じがするんだ。」

「見えない力?」

「欺瞞だ。何も聞いてないよな?」

「はい、聞いてないです。」

「とりあえず仕事しよう。」


“日中に?林に吹き込んでるのか?”


「キー」と聞こえた気がする。


“いや、そうじゃない。夕方に榊が出社した時に話しができる時間がある。”


“グリミーが榊にも直接何かを囁いている。”


“大沢君の名誉回復措置、シフトをずらされた件、ハラスメント相談室に通報された件に対しての腹いせか?”


“例えば、俺が勝手に言って、勝手にやってるとか?”


“林には、自分が夜勤をやった時はこういうふうにきちんとやってたとか?日勤はやってるけど夜勤がおかしいとか?”


荷降ろしをしているグリミー7号の榊は乱暴に荷降ろしていた。


パワフルだった。


ウホッウホウホ、ウホッ!


この時だと思う。

榊が完全に向こう側に行きグリミー化したのは。


台車も乱暴に扱い始め、グリミー大森のようなボーリングのように台車を滑らせては台車どうしをぶつけていた。


周りからの草加部に対する視線も凄かった。


“俺は何も悪いことをしていない。”


“誤解だ!”


ーつづくー

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