プロローグ その6 刃が!
「えっ!?」
「?!」
灰を倒しながら引き返し始めて数十匹倒した頃だろうか、順調にグソクを貫き、斬り裂いていた剣撃に鈍い音色と重い手応えが掛かった。
「どうしたおっ!?いま音が変だったお!?」
先ほどの突きは狙い通り灰色の殻と殻の継ぎ目を突いていた様に見えた。今までなら易々と貫いていたはずだったが弾かれるような形で攻撃が通らなかったのだ。
「クッ外してたのか!もう一度!」
今度は慎重に狙いを定め二番目と三番目の殻の継ぎ目に正確に刺し込んだ。
「ウッ!」
しかし剣が走ることは無く、逆に先程より鈍い音が鳴り響く。
「!」
「キー!」
「キー!」
イズサンの動揺を見越したかの様に2匹のグソクが接近し飛びかかって襲いかかる。
「クソッ!舐めるな!」
突きからの薙ぎ、空中で弱点の腹を見せたグソクの1匹は貫かれ、もう1匹は真っ二つに切り裂かれる…
はずだった…
剣撃は正確にグソクを捉えたが、今まで響いていた斬撃音は鳴りを潜め、剣だというのにまるで打撃武器の様な打撃音。今まで楽々と貫き切り裂いていた小気味の良い音は聞こえず、突き飛ばし撥ね退けただけ。鈍い音色に変わっていた。
「どうしたんだお!」
不安な様子でちゅん助が尋ねて来るが理由が分からない…
「まさか!ここに来て疲れたんじゃないなお!!!」
頭上のちゅん助が慌てた。
「それは無い!!!ねえよ!!!」
強い口調で言い返した。幾分ハイになって飛ばし続けたとはいえ、この世界での若い肉体にはまだまだ力が有り余ってる感覚があった。元の世界でのおっさんの運動不足の身体ではないのだ!すこぶる調子がいい、まだまだ行ける!行けるのだ!!
「だったら何で!」
ちゅん助の疑問は当然だった。退路に存在するグソクは今までと全く同じ灰なのだ。どう見ても今まで無数に問題無く倒してきたのと変わらない個体なのだ。なのに攻撃が急に通らない…いったい何が!?何かがおかしいのだ…
「イズサン!け、剣がっ!」
異変に気付いたのはちゅん助。そして悲鳴にも似た声を上げた。
(剣!?)
「うっ!?」
言われて手にした剣を目の前にかざしたイズサンが驚きの、焦りの声を漏らした。
借り物とは言え千匹以上グソクを突き切り払っても、なお切れ味を保ち白銀の輝きを放っていた剣だったのに。
改めて見つめ直すと輝きが失せ黒い変色が起こっていた。
「は、刃が!」
おはようございます。ちゅん助です。
今朝も最後までお読み頂きありがとうございます。
ラノベのちゅん助は血が出る赤い個体のグソクに驚いてますが現実のちゅん助は昨日あみやき亭で優待券使用のため少し無理して食べすぎたため下痢に…もう若くないなお…
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