第一話 その21 いざとなったら
「ッ!?」
思いもよらぬちゅん助の答えに俺は絶句した。
「お前…なに…言って…?」
人を殺すとか冗談にも程がある。慌てて頭上のちゅん助を引きずり下ろすと互いが見つめ合う形となった。
コミカルな顔をしてはいるものの、ちゅん助のその眼差しは真剣な様子で真顔だった。雰囲気的にも冗談を言ってる感じには見えなかった。
「覚悟はあるかお?」
再びちゅん助が言った。
「覚悟って…」
手の中でこちらを見つめている先程までちゅん助だったはずの、今や得体の知れない存在に感じられるこの生き物に言い知れぬ恐怖を感じた。コミカルな姿が余計怖かった。
「お前、本当にちゅん助…なのか?」
「だお」
「だったらなんでそんな事を…」
真意が知りたかった。
「馬車に乗ってる奴が善人だという保証がおまえにはあるのかお!」
「そ、それは…」
なんとなくではあるがちゅん助の言いたいことが分かり少しホッとした。
「極端な言い方するなよ!」
脅かしやがって、そんな感じで言い返したが、ちゅん助にはふざけている様子が無く真顔なままだった。
「こっから人里までめちゃ遠くて馬車にも乗せてもらえず食料も分けてもらえない場合は?」
「乗ってる奴が悪党だった場合は?」
「人さらいかなんかで有無を言わせず襲ってきた場合は?」
「どーするんだお?」
確かに彼の言う事も一理あるのだがどれも仮定の話でそうと決まったわけでない。どれもこれも悪い想定ばかりだ。
「そうと決まったわけじゃないだろ?」
「そうなった場合の覚悟があるか、それを聞いとるんだお」
「KOされるか否か?それは打たれる瞬間の気合によって変わるんだお」
「だとしても、できるわけないだろ!」
「殺さないとしても乗っ取るくらいの覚悟は?」
「いい加減にしろ!そんな人の道に外れたような事、俺はしないぞ!」
「そうかお…」
一瞬ちゅん助は考えた後言った。
「なら」
「いざとなったら」
「わしがやるしかないなお…」
こんばんは。ちゅん助です。
梅雨明けたらしくムンムンの熱気の中、今宵も最後までお読み頂き有難うございます。
ラノベのちゅん助は不穏な事を言い出しましたが現実のちゅん助は、メープルカシューナッツという超美味しいお菓子を手に入れ舌鼓w単体では甘すぎるので素のカシューナッツも買ってきてメープルと素1:5くらいでグルメを堪能しております。
さておきこのラノベでは皆様のブックマーク登録をお待ちしております。気が向いたときに、気が向かなくても人助けと思って!よろしくなのであります。
であであまた次回!




