第一話 その18 渇きは致命傷に
自分が起こしたであろう大事故からは奇跡的に不思議な形で生き延びた様に思えていた。だが現実を整理すると、死ぬのがちょっと先に延びただけなのかもしれない。せっかくちゅん助と合流出来た事で広がった安堵感が消えまた不安になって来た。
「自分で移動すべきかな?遭難した時はその場を動くなって教えられたこともあるけど…」
「遭難なのかそういう扱いなのかすら不明だお、人が見当たらんのだから救助は期待できないお」
「そうなんだが…」
「ここに来てギャグかお、余裕あるなお」
「そういう意味じゃねえよ…右か左か、進むべきか留まるべきかそれが問題だって事」
「わしゃ右だお!」
「思想の話はしてない!」
ちゅん助はアニメだけでなく高校時代は結構なミリオタだった事もあって右派左派には少し敏感なのだ…
「下流…かな…」
俺はふと先程の小川の事を思い出し呟くように言った。
「ほう?上流階級たるわしに下流に流れよと?」
「あほか!無職!だれが上流階級やねん」
「だまるお!自宅に籠れるのも金あってこそだお!」
ちゅん助のこの手の話は無視するに限る。俺は理由を述べた。
「川だよ川!さっき小川があったろ?民家があるとしたら下流方向の方が可能性が高くないか?」
「ほう、なるほどのう、とすると左か!左を制する者は世界を制すと言うしな!」
「ボクシングかなんかじゃねーのかそれ…」
「なんにせよイズサン、下流方向はいい鴨試練!かもかもw」
「やっぱお前、鳥じゃん」
「は?わしは鳥じゃないお!あんなネギ背負って田んぼの見回りをさせられた挙句、食べられる奴と一緒にするなお!」
とにかく鳥ではないらしいちゅん助が憤慨した様子でぴょんぴょんと跳ねている…
右か左かの問題は一応決着したが動くか動かざるか、考えている間にも時間が過ぎていく。
「下流方向と決めたうえで早速行くか?」
「うーん?」
俺はちゅん助に決断を促した。即答がない…迷っている様子だった。
「まだ陽が高い鴨試練、かもかも~w」
鳥じゃない!とか憤慨してるくせに鳥扱いネタが気に入ってる様子だがそのボケは無視して聞いてみた。
「陽が?」
「………気温的には夏に近いと思うんだお、あの太陽の高さも真上に近い」
鳥ネタのボケに突っ込みが無かったのが残念だったのか、つまらなそうにちゅん助が答えた。少し意地悪だったか?
しかしいつまでも付き合ってやるとそのネタばっかやるのがちゅん助という男なのだ。今はこの状況を何とかしたい。
「今進むと体力の消耗が激しいと?」
「そういう事だお、水を十分飲んで動いたとしてもこの暑さではすぐに水分補給が必要になるお」
「空腹は2、3日耐えられても…わしは耐えられんが…渇きはすぐに致命傷になるお」
「確かに」
こんにちはちゅん助です。
連休最終日、最後までお読み頂き有難うございます。
ラノベのちゅん助は右左で議論してますが、現実のちゅん助はWECというカーレースでトヨタが優勝して盛り上がってます。まあでもWECはル・マン24時間が本体でトヨタが強すぎるあまり、トヨタに開発させない目的で全メーカーに縛りを入れるというインチキレースになってしまってるのでトヨタ的にはネームバリューだけで市販車にフィードバックできる技術をレースの場で培う、という目的が果たせないのでそろそろ撤退するか水素関連で殴り込みの方がいいかも?という気がします。
さておきこのラノベでは未だブックマーク登録の初日が出ず、苦心しております。面白くなっていくので是非とも今のうちに!併せて評価もお願いします。
であであ次回!




