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学校以外は異世界で  作者: 戸口六
7/8

寒天

一見、青い宝石のように見えるが、これは回復薬だ。


あっちの世界で購入したのを、持ってきた。


手元の六個入りケースに、五個入っている。

一個は、北埜原さんにさしあげた。


空いた一個分のスペースには、代わりに色違いの赤い宝石がおさまっている。


これも回復薬ーーただし、俺が作った。


ソシア草を煮詰めて、寒天でかためただけのシロモノ。効果は未知数だが、ありったけのソシア草を使ったので、青い回復薬には負けてないと思う。たぶん。


テスト当日の朝。始業のベルが鳴る前に、俺は人気のない階段下で、回復薬を口にした。


むろん、青いほうを。


べつに体調不良というわけでもなかったが、万全のコンディションでテストにのぞむためだ。


「おっ! これかぁ…!」


俺が反応するより手が伸びるのが早かった。


ふりかえると、モグモグと口を動かす雨滑がいた。


「? 寒天みたいだな」


「あっ、雨滑おまえ!」


「おっ? うぉっ? おおお!? なんかイボ痔に効いてきた気がするぜ!」


「そんな早く効かねぇよ! ってかお前、大丈夫か…?」


「何が? …おおお、みなぎってきたぁー! サンキュー! 走! これでテストをのりきれそうだ!」


大きく手を振りながら、雨滑は自分のクラスに去っていった。


俺は回復薬のケースを見下ろした。


あいつ、赤いほうを口にしやがった。




始業のベルが鳴り、テスト開始。


「ひょはーーーーーーーーーっ!???」


奇声を上げながら廊下を全力疾走する雨滑の姿が全校で目撃された。


俺は何も見なかったし何も聞かなかったことにした。


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