ふわーっ はにゃ~
ソシア草は薬草だ。
そんなに効果が強いわけではないけれど、ちょっとした擦り傷や、煎じて飲めば頭痛や腹痛、体調不良なんかにもひろく効くので、この世界ではとてもなじみのある薬草だった。
ティリルと俺が暮らしている山小屋みたいな小さな家の付近では、どういうわけかこのソシア草がとてもたくさんはえている。
そのソシア草をきまった数だけ束にする。
十束をひとつの袋につめて、これでワンセット。
「こんなものかな」
俺はせまい家の中に積み上がった袋を数えた。
「袋づめがずいぶん上手くなったな、ティリル」
えっへん、とティリルは小さな体をそらした。
「今日はこれくらいにして、おやつにするか」
「おやつー! ケーキー!!」
「まてまて! いまお茶もいれるから…」
香ばしいふわふわスポンジに、フルーツたっぷり、クリームたっぷりのザ・ケーキという感じ。それにチョコレートのスティックがのっている。
こういうのが一番おいしいと思うね!
ティリルはさっきから、「ふわー!?」「ほぇー!?」「ひゅふはーっ!?」と、もはや天上世界にいるような恍惚とした表情を浮かべている。
イチゴのかけらをのせたケーキのきれはしを口に入れて、
「は……はにゃあ~」
なんだか、そのままクリームといっしょに溶けてしまいそうだな。