第007話
GSOについて理解を深めるにつれ、浮き彫りになるのはゲームの名前にもなっている、ギアストーンの万能性だ。
バディロイドの核と言っても良い球体型の自己発光するこの半透明な石は、バディロイドにとって心臓であり、脳みそであり、神経そのものだ。
この石のおかげで動力源も細かなバランサーもいらない。
おかげでこんな小学生でも費用の掛からない仮想現実内でなら簡単に2足歩行ロボットが作る事が出来る。
さらにトライ&エラーを推奨しているとしか思えない、GSOのゲームデザインも味方してくれている。
こういうゲームは素材集めに四苦八苦するものだが、何と1度作り出したパーツはノーリスクでリユースする出来る。
おかげで、何度パーツの設計に失敗しても同量の素材で作り直すなら、足りなくなることはない。
極めつけはブループリントの存在だ。
ブループリントはその名の通り設計図で、モーターやギア等の必須パーツはクエストクリアや敵ドロップ等で獲得することが出来る。
もちろん店売りしているものもあるが、そちらはランダム性が多少あるのと、クエストでもらえる者より、多少性能が落ちると言った感じだろうか。
例に出して一番わかりやすいものは、マニュピレーターだろう。
五本指のものでも材質や保護材の有無、はたまた特殊なギミックのものはレア度が高く、相応の難易度若しくは金額が必要になってくる。
とはいえ、普通の五本指の手のひらを作るならば店売りのもので十分だったりする。
逆に爪系の方がレア度が高いのはなんでなんだろうね?
正直俺にはわからない。
どちらにしろ、モーターが欲しいからコイルを自分でまかなくちゃいけないって事はない。
骨格にあたる基礎部分の設計はネットを探せば無料で公開されているし。
二足歩行ロボットの設計でモデリングが必要であるとしても、主な作業はその外装デザインのみなので、難しく考えずに、自分の好きな外観に出来るのはとても良い仕様だと個人的には思っている。
俺の個人の感覚から言えば、プラモ……いや、ホビー玩具の組み立てにとてもよく似ている気がする。
もちろん、それだけではバトルトーナメントでは勝ちあがれないのだろうが、それでもビギナーにとってのとっかかりとしては十分だ。
おかげで10歳の俺でも一か月も経たずに、人型素体第一号が出来上がったのだった。