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第005話

案内されながら街並みを見てみる。

この街だけで市内程度の広さがあり、ビル街を中心に住宅街などが広がっているイメージだ。

上空から見れば円の形であるようで、外縁部には畑や森をメインとした田舎町が続いている。


ちょっと規模がおかしい気がするのは前世のゲームが頭にあるからだろうか。


ここまで広いと移動も大変で、バスや電車といった交通網が整備されている。

タクシーなんかもあり、車の走る道路はほぼ現実と相違ない。

……車とかバスとかは相当SF感の強い見た目をしているけど。


さらに排ガスの匂いはしないが、呼吸をすれば清涼感があり、自分で自分の手を握るとしっかりと触覚と体温を感じる。

なにここやばすぎ。


色々衝撃的で思考が吹き飛んでしまいそうなので、目先の事を考える事にしよう。

今アーティに案内されているが、これはある意味チュートリアルの一環だろう。


事前情報では、このゲームに凝り固まったチュートリアルはない。

バディロイドが水先案内人になってチュートリアルをプレイするため、十人十色のチュートリアルがあるようだ。

ゲームコンセプトがバディロイドとの協力プレイらしいし納得する。


俺が知ってるゲームと全然違って素直に面白い。


アーティに案内された先は、公園内にある噴水近くに設置された掲示板だ。

要するに運営からのお知らせが張り出されている場所。


SFチックなデザインの掲示板だが、どこかレトロチックに感じるな。


掲示板はそこそこ盛況のようで、老若男女がエルフに獣人、ドワーフとかの姿で掲示板を見ている姿は圧巻だ。

ほぼ現実と変わらないグラフィックも凄いが、このレパートリーも凄いな。

思わず課金したくなってくる。


……誘惑がお辛い。

10歳のお小遣いは有限なので気をつけなくちゃ。


改めて掲示板に戻ろう。

ちょっと空いたところにスッと入って、掲示板に顔を向ける。

お、イベント関連のものを見つけた。

イベント自体は3か月後にあるらしく、バディバトルトーナメントというタイトルらしい。

今からだと、実際の開催は夏休み中だな。


「バディバトルトーナメントは半年に1度行われる大会です。

 巨大なバディロイドに乗り込み、1対1若しくは3対3でバトルを行います。

 地区予選からスタートし、世界大会での優勝賞金は1億円になります」


「……現実味がないけど、マジもんの1億なんだよなぁ。

 世界大会での……って言ってるけど、もしかして予選でも賞金出るの?」


「地区大会優勝者から賞金が出ます。

 全国大会では3位まで出ます。

 地区大会での賞金は10万円です」


「嘘だろ、マジか」


「3対3では賞金も3倍になりますが」


「人見知りな俺には無理っす」


「ですよねぇ」


「とりあえず知りたい情報は知れたな。

 人酔いしそうだから、どこか休める場所ないか?」


「仮想現実なのに……では、こちらです」


アーティに連れられて来たのはマンションに囲まれた土地にある小さな公園だった。

現実だったら子供が遊んでいそうなこの場所は不人気なのか、誰もいなかった。


「NPCすらいないとは」


「時間帯によっては穴場だそうですよ、ここ」


「今は9時か。

 NPCに休日の概念はないみたいだな。

 さて、とりあえずこれからどうするかだけど……」


「まずは資金稼ぎをおすすめします」


「こっちでも金金金か。

 世知辛いなぁ」


「資本主義社会ですから。

 お金を貯めてベース(基地)を買うのがセオリーみたいですね」


基地(ベース)ね。

 ……基地が出来ると何が出来るんだ?

 オンゲのハウスは基本倉庫なイメージがあるけど」


「まぁ……その、私の改造が出来ます」


「……マジでッ?!」


「私達バディロイドは基本的に、現実でのスペックがそのまま反映されて

 この世界にログインされます。

 ですが、そうなると大会を開いたところで、優勝するのは金持ちばかり。

 それを覆すのが、基地であり、改造のようです」


「良きゲームだ……ってちょっと待って。

 それって課金してつよつよパーツ手に入れろって事じゃないよね?」


「自分で設計やプログラミングも出来るようなので、そういうのはないかと」


「どんなゲームだよ」


「ちなみに設計したものやプログラミングの版権はテラコーポが

 しっかり抑えているようですよ」


「大人になると、そういう部分も見えてくるよね、ああ嫌だ嫌だ。

 純粋にゲームを楽しみたいよ、ホント」


「10歳の子供が何言ってるんですか」


「でも、そうか。

 金か技術があれば、何とか戦えそうなんだな」


「その2択だと、ヒロシに勝機は見えそうにありませんがね」


「ククク……そうでもないさ」


「おや、悪い顔して」


「とにかく、方向性は決まった。

 まずは金策、ログアウトしたら動画漁って情報収集だ」


「はいはい。

 金策はバディロイドギルドでクエストを受けて出来そうですよ。

 私は見た目がこれですからね、私のために馬車馬のように働いてくださいね、ヒロシ」


「おうよッ!」


「……そう元気に返されると心がもにょります」


一度ログインして休憩&軽い情報収集を行うと、再度ログインして早速行動に移る。

バディロイドギルドはビルが立ち並ぶ中心街にあるSF味のある建物だった。

内装はまんまSF系オンゲのロビーみたいな場所、分かりやすい。


とりあえず俺は輸送任務(またの名をお使いクエスト)を引き受ける。

最効率ではないが、武器がないのでそれ以外出来ないし仕方がない。


他にもネコ探しや水道管の修理など便利屋的な仕事もあったが、そう言ったクエストは実利よりお礼アイテムがおいしそうな感じだったので、後回し。


とにかく、金、金、金!

最短で基地をゲットだぜ!!

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