第003話
アーティに教えてもらったのは、所謂フルダイブ型のVRMMOだった。
MMOはあったけど、それとはまったく違う、前世では創作物の中でしかなかった未来なゲームだ。
そもそもフルダイブゲームとか、夢の産物がこの世界にあるとか正直驚きを隠せない。
これでエロゲが出来たなら……と思ってネットで検索してみようとしたらものの見事にはじかれた。
この世界でもおまもり機能は健在らしい。
ちくせう。
ま、そんな楽しみは成人するまでとっておくとして、何はなくともVRMMOだ。
幸運な事に、フルダイブ用のヘッドギアなど設備一式はママンが持っていた。
タワー型PC代込みで総額数十万はする代物を何でもってるんですか、母上。
好奇心に負けて聞いてみたら、暗黒微笑で返されました。
そしてPCは中身がOSしか入っていない真っ新なものでした。
逆に怪しいですよ、ママン。
まぁ、エロゲを検索しようとした俺が言うのもアレだけど。
とにかくゲームをインストールしよう。
その間にフルダイブのための準備をする。
「おむついるかな?」
『生理欲求などは一定レベルになると、強制ログアウトになるようですよ』
「マジか、未来に生きてるなぁ」
どんな仕組みになってるのかね?
気になるけど、調べたところで理解できる気がしないけど。
とりあえず、ネットで取説を熟読しつつVRヘッドを被ってベッドに寝転がる。
これ頭に付けるだけで、フルダイブとかマジですか。
どうやら借りたものは、型落ちのようで、処理速度が現行機より遅いらしい。
まぁどのくらい差があるのかわからんので、とりあえず気にしないことにしよう。
あとは起動すると睡眠状態のようになるそうで、外部から強い刺激があると強制ログアウトさせられるらしい。
催眠?
SFには似つかわしくない言葉だけど大丈夫か?
……考えても仕方ないか。
邪魔されてもあれなので、部屋のドアに張り紙をしておこう。
「アーティはどうすれば良いんだ?」
『私のお尻の方にコードが収納されているので、それをPCに繋いでください』
ちょっとエロくない?
と思ったのはナイショ。
尻に反応するなんて、下ネタを覚えたての小学生かよ。
そういやそうだったわ。
ゲームのインストールも終わって準備は万端。
「オンラインゲームなんて、何年ぶりだろ」
『ヒロシとしては、やった事ないでしょう?
ナチュラルに前世を入れないで下さい、混乱します』
「すまんすまん、良し、ギアストーンオンラインの世界へさぁ行くぞッ!!」
『ゲーム起動。
ヒロシ、向こうでお会いしましょう』