第020話
3Dモデリングが一区切りついたのでまったり進行でぼちぼち再開
「とりあえず出たらどうです?」
一応端末はスクーターにセットしてるし、手が塞がることはないけど。
「煽ったと思われてるのかね?」
「それはないでしょう」
アーティが勝手に端末を操作して電話に出る。
スクーターと繋げてたのが仇になったか。
「はいはい、こちら恵庭くんですが?」
「そのバイクどうしたのっ?!」
音量マックスなヒカルくんの声が端末越しに届く。
えらく興奮されているようだ。
「あー……作った」
「まじでっ?!」
「アーティさんはどうしたんですのっ?」
今度は成瀬さんの声だ。
これ予想はついてそうだなぁ。
「まぁ、バイクがアーティだよ」
「やっぱりっ!?
それ、ありですのっ!?」
うしろでヒカルくんがビートにバイクになってという無茶振りをしてるのが聞こえる。
ビート……頑張れ。
「GSOの攻略動画見てると戦車型も出てくるでしょ?
スクーターもありじゃない?」
「でも貴方、あれだけ人型に執着してたじゃないですのっ!」
「いやぁ、現状人型だと速度が出せなくてね。
これならまたモンスターに襲われても逃げ切れるし?
一応ニトロもついてるし」
ニトロと言う名の小型ブースターだけどね。
所謂緊急離脱用に取り付けたんだけど、性能試験もしてない(というよりアーティがさせてくれない)動作確認はしてるから使えはするんだけど個人的には欠陥品。
でも外さない、だってニトロって言葉がカッコいいから!!
「にとろっ!!」
ヒカルくんのIntが下がってる。
ビートにはブースターがあるでしょうに。
「とにかく一度合流しないっ?
近くで見てみたいっ!!」
「あ~……今クエスト中で、これ終わったら夕飯だから明日なら良いよ」
「わかった!」
そういうと、ヒカルは通話を切った。
「そんなにスクーターが見たい……いや、乗ってみたいのか」
「乗せることになるでしょうね」
「成瀬さんの時みたいにブループリントを渡してハイ終わりってわけにはいかんのかね」
「口に出すかはともかく、あの興奮具合から察するに早く乗ってみたいのでしょう。
前世大人なヒロシは無垢な子供の純粋な好奇心に水を差すのですか?」
「辛辣~……
ん〜……まぁ乗せるかどうかはノリと雰囲気で決めるか。
バイクのブループリントは渡しても惜しくはないけど、このままなぁなぁなのは
不健全なような……」
「ギブアンドテイクしか信じられない社会人の典型ですね。
これも前世の記憶が……およよ」
「んな極端な……。
というかアーティさん、前世云々を便利に使い分けてませんかね?」
呆れながら、でも、とふと考える。
前世の子供の頃ってもっとシンプルだったように思う。
友達に見返りなんて求めていただろうか。
確かに、こういう思考は前世の記憶があるからなように思う。
というか、
「あいつらとは友達なのかね?」
「友達のハードルが上がってるのも前世の影響が……ほよよ」
「だから前世が悪いようにいうんじゃありません、あとほよよはないだろ。
地球割る気かよ」