表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/21

第016話

周囲には開けた農地が広がり、少しだけ小高い場所に人が住む家屋が建てられている。

ここが今回のお使いクエストのゴールだ。


「いつもありがとうね。

 そうそう、この前納屋を整理していたらこんなものが出てきたんだけど、いるかしら?」


荷物を渡したおばあさんがそう言って俺に賃金とクエスト報酬のブループリントを渡してくれたので、俺はありがたくそれを受け取った。


「宅配クエストって、こんな感じなんだな」


帰りの道中、どこか感心したようにヒカルが感想を漏らす。


「ちょっ、やった事なかったのかよ」


「いっつも討伐クエストばかり受けてたからな」


「恵庭さん、ヒカルはこう見えてバトルジャンキーなのですわ」


成瀬さんがため息をつく。

俺としては見た目通りなのだが……言わぬが花か。


「宅配クエストは時間は取られるけどアーティの試運転には最適なんだよ。

 さっきみたいな感じで偶に副産物も貰えるし」


「いや、敵のレアドロップでもブループリントは貰えるぞ?」


「そういやそうだった……」


「それでもらったブループリントはどういったものなのですか?」


「ああ、今回は電球だな」


それを聞いてぽかんとする。


「武器、とかじゃないのか?」


「アームパーツ、とかではありませんの?」


「違うなぁ。

 専ら宅配クエストでもらえるのはお金だし、ブループリント自体稀だ。

 というか武装とかそういうパーツは宅配クエストではもらえんね。

 素体パーツは遠距離輸送クエストであったかな?

 正直汎用パーツならお金貯めてお店でブループリント買ったほうが効率が良いまである」


あくまで“直接的な”武装に関しては、だけど。

機械製品に限らず、モノって使い方によっては全部武器になると思うし。


「それにクエストはこなせばこなすだけ次のクエストが楽になる仕組みじゃないと、正直モチベが維持できない人が多いだろ?

そういう兼ね合いもあって、宅配系クエストでもらえるブループリントは輸送に役立つ物が副産物としてもらえるようになっているんだと思う」


「そういうものなのか」


「そういうものなんですの」


「……なんだか盛り下がってるが、電球をバカにしちゃいけないぞ?

 なんといっても汎用性が高い」


電球といういい方が悪かったのか、2人の食いつきが相当に悪いな。

まぁ、確かに電球なんて言われても普通は豆電球くらいしか想像できんか。


「今回貰ったのはオフィスのワンフロア分を100000lxで埋められるお化け電球だぞ。

 すごいんだぞ」


「なんかヒロシのIQ下がってない?」


「そのルクスって何ですの?」


「あ~……説明がややこしいな。

 つまりあれだ、カメラのフラッシュ。

 あれが作れる」


「?

 作るとどうなるんだ」


「目つぶしが出来るぞ。

 センサー類にも影響を与えられると思うんだがそこは要検証かな」


「搦め手ですわね」


「そういうこと」


「結局武器じゃないんだろ?

 なんだかなぁ」


この脳筋さんめ。


そんな無駄話をしながら俺達はバスに乗って都市へと帰ってきた。

本当は帰りも徒歩の予定だったけど、仕方がない。

出費が痛いぜちくせう。


エレベータで降りた先にある基地は昔アニメで見た、戦艦内にある格納ドックのような見た目をしている。

SNSでは、最安値なこの通称“初期ドック”をペンキで装飾する人もいたりする。

俺は面倒なのでやらないけど。


「殺風景ですわね~」


「巨大ロボットの1つくらいあれば見栄えはするんだろうけどね。

 そっちはまだ研究中」


「どんなのを作られるのか楽しみですわ~」


「ヒロシ、あの角のところが作業スペースなのか?

 ……こんなに広いのに、なんかみみっちくない?」


「整理整頓が行き届いていると言え。

 すべてが自分の手元で完結できる空間って素敵だろ?」


「これは恵庭さんに軍配ですわ。

 ヒカルはもう少し、整理整頓を覚えてくださいませ」


「うへぇ、藪蛇だったぁ」


「ブループリントは……これだな。

 一度映すか?」


「お願いしますわッ!!」


俺は頷くと、空間ディスプレイにアーティ素体のブループリントを映し出す。

2次元の設計図と3D投影された素体が出てくるので、すごくわかりやすい。

なんというサイバー空間……何度見てもテンションが上がる……ッ!!


「ふむふむ……全体的に必要最低限のパーツで構成されてますわね……。

 無駄なところが外装しかありませんわ」


「そこはデザイン重視だから。

 見た目が気に入らないとテンション上がらないでしょ?」


「私は骨格モデルも好きですわ。

 あぁ、でもこれだけ無駄がないと追加装備をなんでも付けられそうでワクワクしてきますわね」


「実際はそこまででもないんだ。

 強度の問題で重量制限もあるし排熱も……」


「ついていけねぇ……。

 アーティは嬉しそうだな。

 顔に出てるぞ?」


「天満さん達のおかげでヒロシが楽しそうなので。

 大変な思いもしましたが良かったな、と」


「そういうもんか。

 あ~あ、ヒロシのやつ武器とか作ってくれねぇかなぁ……

 それなら俺もテンション爆上げなのにさ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ