第013話
そこから100メートルほど全力疾走すると、何故か開けたところに出た。
目の前に2人組がいるように見える。
正直、目がかすんでそれどころではない。
救援が近くにいたからってちょっと無茶し過ぎた。
「目的地到着。
ヒロシ、倒れ込んで大丈夫ですよ」
アーティの声が届くと同時に足がもつれて、草地の地面に倒れ込む。
前を走っていたアーティにぶつからなくて良かった……。
「ぐへー……ッ
ぐへー……ッ」
今にも吐きそうなレベルの呼吸を何とか整えようとしていたら、聞いた事ない声が耳に届く。
「あんたがアーティ?
人型だったんだ」
「見た事ないタイプですわね。
どこのメーカーのものかしら?」
どちらも子供みたいな声だ。
もしかして、子供達が救援を受けてくれた人達なのか?
「はい。
あと残念ながら、
木々のおかげで距離は取れましたが、あと数秒でモンスターがやってきます」
気になって後ろを振り向こうとしたが、やめた。
女の子が居そうだったからだ。
倒れ込んでいる角度からそっちを向いてスカートの中身がこんにちは、とか助けてもらおうとしているのに、サイテーにもほどがある。
「なるほど、あんまり話している時間は無いようだね。
ビートッ‼」
『出番か?』
モーター駆動音と共に勇者ロボみたいな声が聞こえた。
姿は見えないが、男の子っぽい方のバディロイドだろうか。
音声デバイスがクソっぽいけど大丈夫か?
「あっちからモンスターだ。
ルルースは下がってて」
「分かりましたわ。
ディーネ、援護をお願いします」
「かしこまりました、お嬢様」
お嬢様呼びとか執事喫茶以外で初めて聞いたわ。
あと名前がカタカナぽいけど、外国の人だろうか?
“グオォォォォォォォォッ!!”
『ほう、強敵登場だな。
ディーネ、手出しするなよ?』
「相変わらず血の気の多いバディロイドですね。
お嬢様方の安全が優先です。
お忘れなきよう」
『分かっているさ。
こい、化け物ッ!!』
勇者ロボっぽいビートがそんななろう小説の冒険者みたいな台詞を吐いた後に、
ブースターの音、
破砕音、
そして巨体が倒れる音が聞こえた。
その音を聞きながらもう倒したのかよ、とホッとした。
気が緩んだからか、瞼が重い……うぅ、強制ログアウト間近なのか?
折角……資金集めも……順調……だった……の……に……。