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能力の名はサンドボックス  作者: soumamumu
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女騎士は肝っ玉母ちゃんになりました

「さて、ノエミは行ってしまったので、私がもてなさねばな!さぁ、来賓室に行こう。」

え?

来賓室?

「母上、今日はやめておきましょう。」

「なぜだ!」

「何故も何も今日は買い取りの用事のみでしたから。」

「えー!」

そうなのよね。

でもアミュティリス以外にも色々あるのだけど…

私はそっと近くにいたアドル老師に耳打ちした。

「『他にもクラミッパとかトルー鉱石とかルビーとかサファイアとかポーションとかもあるんですけどどうすればいいですか?』」

「『え?ルビーとサファイアもあるの?それは普通の宝石として取引はあるよ。でも宝石商に持ち込んで見てもらったほうがいいかな。伝手に頼んでみるよ。他は認定された薬剤師なら買い取れるものだから僕が買い取るよ。』」

ふむふむ、じゃあ後でアドル老師の家に行く感じかな。

私とアドル老師が話しているとエラン様とマルティーナ様たちの話し合いは済んだらしい。

マルティーナ様は不満そうだけど。

「さ、一度アドル老師の家に寄って行こうか?クラミッパもあるんでしょ?」

御明察!

「それが、トルー鉱石とポーションと宝石の原石もあるらしいよ」

アドル老師が苦笑いした。

「そうなの!?後で見せて!」

私がコクンと頷くとエラン様はニコニコしながら振り向いた。

「では母上方我々は失礼します!」

すぐにエラン様は踵を返し私を訓練場から連れ出そうとした。

「あ、待て!次は会食もするからな!そのように計画しておいてくれ!!」

後ろからよく通る女騎士らしい声が聞こえてくる。

あれがエラン様の実母か…。

エラン様は誰に似たんだろう?

「すまないね。母上は気に入った者に絡む質があるのだよ。代わりに見る目はあるし、何かあれば身を挺して守ってくれる騎士道の持ち主だ。いずれ何かあっても力になってくれるだろう。」

義理堅いんだな。

そういう人は嫌いじゃない。

「素敵なお母様じゃないですか。」

「そう言ってくれると助かるよ。」

エラン様は私の言葉に少し頬を染めて嬉しそうにした。

肝っ玉母ちゃんみたいでいいと思う。

「そういえば、知ってる?マルティーナ様はその昔、帝都の戦姫って言われてたんだよね。今やコアナキアの女剣王って言われてる。」

そう言ってアドル老師はクスっと笑った。

「剣を振るってたほうが様になってますからね、母上は…。」

エラン様は苦笑いで返す。

「それはいい意味なんですか?」

「いい意味だよ。本人は書類関係は苦手なんだけど、人を動かすのがうまいし、…なんていうか…人たらしなんだよ。戦闘センスが抜群でよく人を見てるから戦で勝利を導いたことが何度もある。」

「へぇー、だから『女騎士』っぽかったのか。」

「オンナキシ?」

あ、日本語出ちゃった。

エラン様がポカンとしてる。

「女性の騎士のことを日本語でオンナキシって言います。」

そのままのことを説明するとなんだか変な感じだけれどこっちの世界の言葉で言うと若干長いのだ。

“女性の馬に乗る兵士”というような長さになる。

「オンナキシ。わざわざそんな言葉があるほど女性の騎士は多かったのでしょうね。」

「いや、それはどうだか…」

漢字って便利だなぁ…ってこの世界に来てつくづく思う。

そんな話をしていたら城の前の広場に戻ってきていた。

そこからさらにアドル老師の家の方へ向かう。


家へつくと入る前に置きっぱなしになっていた作業台とチェストに向かい展開して、前入っていたものと買い取ってもらうものを交換して机を置きコンバートした。

チェストからクラミッパとクラミッパパウダー、トルー鉱石、ポーション、あと、ボウルを出した。

それらを机の上に顕現させた。

それぞれ一部だけどね。

「クラミッパですね。」

と飄々としてる老師。

「うん、クラミッパだ。それと…これは…加工済みのクラミッパ!作るのは難しいの?」

エラン様は少し興奮してる。

「え?いえ、そんなに難しくないです。」

かまどで焼くだけだしね。

「全部加工してもいいよ。加工した分高くしよう。」

老師の目が少し期待していた。

どうやってやるのか見たいのかな?

「わかりました」


私は無意識に展開をしてしまった。


あ!ヤベ

って思ったら机の上に全部アイテムとしてクルクル回るエフェクトが出てた。


あれ?

チェストに入れなくてもできるんだ。

こりゃびっくりたまげた。

そういえば、コンバートするときに散らばったアイテムは消えるけど、展開の時は確認してなかったな。

…あれ?展開しても通常はアイテム化しないよね…。

もしかして、一回アイテム化したものは二度目からはマコトちゃんがアイテム化しなくてもアイテムのエフェクトになる?

その可能性はあるな。


結界の中に急に入ってしまった二人もびっくりしてたけど、それには気がついていないみたい。

アイテムのエフェクトになったもののリアルの姿をみると、その周囲に少し白紫っぽいモヤが僅かにかかっているように見える。

一度アイテム化すると魔力の残滓が残るのかもしれない。


と、予想してみたけど、そう考えると自分や他人のお腹に入るのは大丈夫なのか?と心配になったので考えるのをやめた。


すでにりんごとか食べちゃったし。


私はマコトちゃんにアイテムを取らせるとかまどを設置しクラミッパを焼いた。

焼いている間に再び他のアイテムをチェストに入れる。

そして、焼けたクラミッパも入れてからかまどを回収してコンバートした。

机上に顕現させるとアドル老師か目をキラキラさせていた。

「すご!早い!もう加工できたの?」

「え?はい。実際はどのくらいかかるんですか?」

「2週間だよ!」

「2週…間…」

かまどに入れると一つで10秒なんだが…。

これは市場が荒れそうだ。


私は一通りボールを用意して、次々と顕現して見せるとアドル老師は軽く引いていた。


「こんなにあるとは…えっと…」


そう苦笑いしながらライザに測ってもらいながら計算をしている。


アドル老師の能力証にメモをしてるようだ。

「トルー鉱石もでかいねー。ポーションは普通かな?」

トルー鉱石を手にとって眺めたあと、ポーションの蓋を取り匂いを嗅いで中を覗いてから閉めた。

「ポーションは普通よりも良さそうだね。」

「普通よりも良さそうとは?」

「基本のポーションは貴族なら誰でも作れるくらい基本中の基本で、分量が多少変わっても効果はあるんだけど、正確に測って作ったポーションは効果が早く出たり効果が上乗せされたりするんだよ。戦闘中の回復スピードは死活問題だから普通のポーションよりも正確に作る人のポーションは騎士によく売れる。」

これもサンドボックス効果だわ。

続々と通常よりも上物の評価を頂いて、嬉しい反面怖くなる。

私がこの能力をコントロールしてるという気になれなくなってきた。


そもそも、私、どうしてこの世界に落とされ記憶を取り戻し、この能力を持ったのか…


それを言ったらアドル老師もそうなのかもしれないけれど…。


「こんなものかな?このくらいでどうかな?」


そう言って、能力証の画面をこちらに向けた。

手書きの文字で計算がされていて、答えのところに大銅貨4399枚と記されていた。

その下には繰り上げられる硬貨の枚数が書いてあった。


大金貨8

小金貨3

大銀貨1

小銀貨4

大銅貨9


大銅貨一枚は感覚的には100円くらいだから439900円くらいの計算かな。


いいときのボーナスくらいの金額だ。

ひぇえ…

全然働いてないのに!


あ、ちなみにこの世界にも円のような数え方は存在してはいて、小銅貨の1/100の数字が1にあたるメナという数え方がある。

計算上4399000メナという金額だが、数字が増えすぎて逆にめんどくさいと帝国内ではあまり浸透しておらず、帝国外の人と区別する指標になりつつある。

帝国外の人はメナを使いがちなのに、国内の人は一番小さな硬貨の枚数で表現するということになってる。

不思議だよね。


ってそんなこと考えてる場合ではなかったか。


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