精霊の伝承
私はチェストを開けてから、セスさんの前からアミュティリス石を取ってチェストに入れた。
するとセスさんがハッとして立ち上がった。
顔が真っ赤だ。
「し…失礼しました。」
恥ずかしそうに言われるとこっちも恥ずかしい。
顔が熱い。
「石が好きなんですね。」
「はい!大好きです。」
私はフフッと笑うとセスさんはまた恥ずかしそうにしていた。
「それにしても凄い量のアミュティリス石でした。あなたはアミュティリスの使いのようですね。いえ、まるでアミュティリスを育むオーキュリタのようです。」
はい?
なんですと?
セスさんはキラキラした目で私を見下ろしている。
アミュティリスを育むオーキュリタ…
ってなんのこと?
なんと返せばいいかわからず首を傾げた。
「オーキュリタがアミュティリスを?どういう意味だ?セス。」
疑問を口にしたのはエラン様だった。
あれ?エラン様もわからないのか。
「オーキュリタが孤独の底で打ちひしがれるとアミュティリスが生まれ、オーキュリタはアミュティリスを育みアミュティリスはオーキュリタを愛す。2つの精霊は孤独から浮き上がるとそこからふつふつと精霊達が生まれだした…っていう話…知りませんか?」
セスさんが、話すのを聞いて私もエラン様も同じように首を傾げた。
ってか、アミュティリスとかオーキュリタって精霊のことか。
「あれ?みんな知ってるものだと…」
「誰かから聞いた話?」
「えっと…あぁ、乳母から聞いた話ですね。」
乳母とは、やっぱりセスさんは上級貴族なのかな。
あぁ、でも乳母って母乳の出が悪かったり多産だと庶民でもいたりするんだよな。
「セスの乳母というと…アシーラ殿だったか…確かタシュカ出身ではなかったか?タシュカにそういう伝承があるのか?」
エラン様が思い出すように口にしたのでセスさんも思い出しながら話している。
「詳しいことは知らないです。タシュカ出身なのは知ってますが…小さい頃に子守唄代わりに聞いた話だったかと。」
なるほど、自分が知ってるお話を子守唄代わりに聞かせてたのかな。
私がセイラとして聞いたことある昔話はこの国が帝国になる前のこの領が一つの国だったときに庶民から召し抱えられたお妃様の話だったなぁ。
光の魔法が使えた女の子が王子様を助けて見初められるお話。
精霊がどうという話はほとんど聞いたことがない。
精霊のことを知るのは学校でちらっと習う程度なんだよね。
「一度調べてみるか。」
「エラン様…またですか。」
「なんだ?だめか?」
「探究心があるのは良いことですが、業務に支障が出ないようにしてくださいね。…ハッ!業務!」
セスさんが冷静な顔に戻った。
午後の訪問のことを思い出したんだろうな。
「まだ食後で大丈夫だろう?4の鐘はまだ鳴ってなかったはずだから。」
「そうですね。早めに済ましましょう」




