チェストマジック
「トルー鉱石はともかく、アミュティリス石はこんなに大きいのは珍しい。」
アドル老師はまじまじとアミュティリス石を見ていた。確かにこんだけ大きければ10円玉くらいに切り出したら結構取れるな。
「さすがにこれは今すぐに買い取るというのは難しい。準備ができたらということでいいかな?」
「あ、はい。そんな急がなくても構いませんよ。」
とはいえ顕現しちゃったのよね。
どうしよう。
戻せないかな。
ふとチェストが気になった。
そういえば、何も入っていないところは開いたよな。
そこに入れたらどうなるんだろう。
気になってきちゃった。
「どうかした?」
アドル老師が挙動不審の私に声をかけた。
「ちょっと試したいんですけどいいですか?」
「…どうぞ?」
アドル老師は不思議そうに首を傾げていた。
エラン様も同じように不思議な顔をしているがニコニコしてる。
元からそういう顔なのかな?
私はチェストの何も入っていなかった一番上を開けて、アミュティリス石とトルー鉱石の石を入れて閉めた。
3秒くらい待ってから再び開けた。
ーゴロン
チェストの中で石が転がった。
再び閉めて、私は能力証を開き展開し、数秒待ってコンバートを押す。
チェストを確認。
ーゴロン
しっかり石だね。
もう一つ試したい。
能力証で展開したあと、マコトちゃんにチェストを開けさせる。
するとチェストのストレージの下の方にトルー鉱石とアミュティリス石が一つづつあった。
確認して何も触らずに閉めてコンバート。
能力証を閉じて再びそこを開けると…
キューブになってる!
場所は一番上だ。
ってことは何か物を入れてマコトちゃんにチェストを開けさせたらみんなキューブになるんだろうか。
今日はもう遅いし、明日検証しよう。
私はバタンと勢いよくチェストを締めた。
「さ、帰りましょうか!」
頭の中ぐるぐるしてるけど、笑顔でエラン様とアドル老師を見たらそこにはいなく、真後ろにいた。
「『いやいやいや、今の何?!キューブに戻ってたよね?!』」
とアドル老師。
「それ、出し入れ自由なの?キューブのまま持ち運べるとしたらすごくない?」
まぁ、確かにトルー鉱石やアミュティリス石、パンとか砂糖とかそれ以外もスタックするし、マコトちゃんに持たせておけばかなり楽に移動して物品を出すことができる。
あれ?一回スタックした石は同じ形として出てくる?それともちゃんとそれぞれ識別されてるんだろうか?
それも検証したい。
「まぁ、無限に持てるわけじゃないですし…」
私は二人の興奮を抑えるように苦笑しながら言った。
「闇属性の人には稀に収納魔法が使える人がいるけど、ほんとに稀だし、魔石はその力と反発するのか収納できないこともないけど、容量を食うらしいんだよ。」
とエラン様。
「つまりパンは沢山収納できても、魔石を入れると魔石一つで容量いっぱいになる人が多い。」
今度はアドル老師。
「セイラちゃん、その様子だと結構持ってるでしょ?どのくらい収納できるの?」
エラン様が目をキラキラさせている。
アドル老師はキラキラというよりギラギラだ。
怖い!
「えっとー、パンもトルー鉱石もアミュティリス石もそれぞれ64個ずつまとめて入れられて…たぶんそれが30個くらいは持てたかと…」
ちゃんと数えてないけど…
パイオニア版なら普通は手持ち含めて36くらいで中国版なら38だったかな。
パイオニア版だとボックスで持ち運べるやつがあったりMOD使うとストレージ増やせるのもあったし、持ち運びできる限界って言うとどのくらいなのかわからないんだけど。
でもそういうのがなければ、私の能力ではそれよりも多く持ててる気がするからもしかしたら40くらい持てているのかも。
あとでこれも確認だなぁ。
私がそんなことを考えているとエラン様は衝撃だったのか両手で頭を抱えていたし、アドル老師は何か考え事をしていた。
アドル老師はたぶん、やったことなくてもサンドボックスゲームのシステムについては色々知ってはいるみたい。
「『あの、やったことなさそうだけど、なんでサンドボックスゲームのこと知ってるんですか?』」
「『あぁ…友人がやっているのを見せられたことがあるんだ。やらないかって誘われたんだけど、仕事で忙しくてなぁなぁになっててね。それでそのままね…』」
「『なるほど…』」
どうりで詳しくないけど、知識としては知ってるわけだ。
「とりあえず、今日は帰りませんか?」
私が言わなければグダグダしてしまいそうだったので主に頭を抱えているエラン様に向かって言った。
「…そうだね」
気がついてこちらへ笑顔を向けたエラン様の頭はボサボサになってた。
それでもイケメンはイケメン。




