サイファ帝国の食文化
ノーブナルガーが気になる授業が終わり、給食をとりにみんなと食堂へ行くことになった。
食堂には既にビュッフェ形式で、パンやスープやハムやチーズのようなものが並べられている。
飲み物は季節の柑橘を絞ったものと水は一応水瓶が用意されている。
ホテルのビュッフェだとしたら物足りない。
器は既に食品が乗っている大皿は陶器だけど取皿は木製の物が使われている。
コップも木製だ。
というか、コップは竹のような植物からできてるかも。
竹あるのかな。
見たことない。
スプーンもフォークも木製。
前世日本人としてはここまで木製だと箸が欲しい。
トールゲン家ではカトラリーは陶器と銀製が多かったけど、一般家庭では木製が多いのかもしれない。
このあたりの植生は日本に似ていて、森や林が多く木工は一般的な仕事だと記憶が言っている。
とりあえず、パンとハムとチーズそしてスープと柑橘のジュースをとり、席についた。
横にミラとレノ、向かいにアリンとネイが座る。
特に「いただきます」と言うこともなくみんな食べ始めた。
つい日本の癖で手を合わせてしまって焦ってスープをすすった。
トールゲン家でも手を合わせて両親に変な顔されたけど、ここではみんな腹ぺこなのか食べるのに必死だ。
ネイなんか、男の子だからかあまり行儀がよくはない。
ハムを手づかみでガツガツ食べている。
女の子たちもスプーンは使っているが木のフォークはうまく刺さらないのでつまむ感じで手づかみだ。
というか、フォークを持ってきてる人がいないな。
私もとりあえず食べ始めようとフォークでハムを刺そうとしたけど、長いこと使われているのかフォークの鋭利さはなく、ささらない。
仕方ないので他の女の子たちのようにつまんで食べた。
うーん。なんか硬いし、臭みがあるな。
塩気は日本で食べたのと変わらないけど、香りが良くない。
同様にパンとチーズ、スープと食べていく。
パンは硬いし、チーズはやはり臭みが強いし、スープは薄い。
家では病み上がりだったから薄味のスープにパンだけなんだと思ってたけど、これノーマルでこうなのかもしれない。
前世日本で美味しいものを食べたのを思い出したせいで、すごく不味く感じる…知らぬが仏とはこのことか…。
唯一美味しかったのは柑橘のジュースだ。
甘味も程々でグレープフルーツのような味わいなのにエグみが少ない。
しぼりたてなのかすごく香りもいい。
他は流し込むように食べて、ジュースをゆっくり味わっているとアリンと目があった。
「セイラ、今日はなんでフォーク持ってきたの?」
う…アリンはやっぱり鋭いな。
というか、今まででやっぱり私もフォーク使ってなかったのか、記憶が曖昧だ。
「え?あぁ、使えないのはわかってたけど、ほんとに刺さらないか試してみたくて?」
と返すとアリンではなくネイが口を開いた。
「セイラの家では銀のフォークだもんね。手づかみするなってご両親に言われてるでしょ?」
苦笑いしながらも羨ましそうに言う。
これは別に嫌味ではなく本当に憧れから出た言葉だとわかる。
みんなも、ウンウンと納得した顔でうなずく。
アリンは完全には納得していない顔だけど、引き下がったようだ。
「セイラは一応お嬢様だもんねー」
アリンはからかうように言う。
「一応ってなによー。」
笑いながら返すとアリンも含めてケラケラ笑い始めた。
これは正解だったみたい。
なるほどね。
セイラは一応お嬢様で頭も悪くないけど、お転婆で正義感が強くて男勝りな子なんだな。
鈴木誠子の方が長く生きているから前世の方のが勝っちゃうから、気をつけないと。




