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能力の名はサンドボックス  作者: soumamumu
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兄は素直なシスコン

時間にして15分程度だっただろうか、私の家周辺まで来て、速度を落とした。

そういえば、私エラン様に家の場所教えたっけ。

「家はどこだったかな?」

エラン様か不意に話しかけてきた。

「あそこです。」

農道の道の先の少し右に明かりがついた屋敷がある。

それが家だ。

私は指をさして示した。


そこから向こうに何件かまとまって集落が続く。

一応集落の者が買い物をしやすいように敷地内の倉庫の端に小さな商店を構えている。

集落にはうちの店で働いてる人も多くいるが、ちょうどその商店の店じまいをして帰るところなのか、向こうから従業員が出てきた。

それなりに距離はあったが、目があったのがわかった途端に走って裏に行ってしまった。

しまったな。

エラン様をみられるのはまずかったかも。

「エ…エラン様、ここでいいです。」

今からでも遅くはない。

遅くなってお願いしたら厩舎番の人が送ってくれたとでも言えば…


私は降りようとしたら回していた手を掴まれて降りれなかった。


「あの、エラン様?」

「カエラ殿に謝らねばなるまい。」

エラン様はそう言ってそのまま馬を家の倉庫の方へ向かわせた。

倉庫には馬屋が小さいながらにある。

基本的には商会で運搬に使うようだが。

エラン様は馬屋の軒先にある馬留めを見つけそこに馬を繋いだ。

すると奥から従業員が出てきた。

「お嬢様、おかえりなさいませ。えっと…」

従業員は私に挨拶をした後エラン様を見て戸惑っていた。

貴人であることはわかったのか対応に困っているようだ。


名前は覚えてない。

ってか従業員一杯いるからね。

確か、全部で50人くらいはいたはず。

一瞬エラン様が何か言いそうなのを遮って私が前に出た。

「気にしないでください。馬だけちょっと見ててもらえますか?」

私がそういうと商人らしい笑顔を返してきた。

「わかりました。」

まぁ、これでいいでしょう。

私はエラン様に目配せをすると母屋の方へ向かった。


「エラン様、すみません。うちは商家です。商人が出入りしてます。先ほどのは確か長いこと働いてもらっている従業員だから大丈夫だと思いますけど、違う街の商人ともやり取りがあります。商人同士は腹の探りあいをするものなので、下手に情報を出すとそれも金になります。」

私は苦笑いで多少小声で歩きながら話した。

「あ…すまない。そういうことか。考えが甘かったようだ。君の件を秘密にするとしておきながら…」

エラン様はばつが悪いと頭をかきながら謝ってきた。

「いえ、こちらこそすみません。エラン様にわざわざ送っていただくことになったのは私自身の責任ですから。もっと先に話しておくべきでした。」


ーガチャッ


私とエラン様が玄関に喋りながら着くと、ドアが開いた。


兄だ。


いかん。

これは修羅場になる。


私はすばやくエラン様と兄の間に入った。

「…ただいま 兄様」

私は緊張しながら笑顔を向けて言った。

兄様はムスッとしていた。

私が怒られるのは構わないので失言をしないでくれよ。

「こちらはエラン・ユグレスト・コアナキア様。兄様もご存知ですよね。

領主のご子息です。

少々込み入ったことがあって周回馬車に乗り遅れてしまったので送っていただけることになりました。」

私は兄が先に何か言わないように早口で言いはなった。

「…心配したんだぞ」

兄はエラン様をチラっと見て少し動揺したのかすぐに私を見て小さく言った。

「すみません。」

「…せっかくだから、お入りください。尊い方には汚く狭いかもしれませんが。」

兄は一応気を使っているようだが、冷たげに言った。

貴人だと知っていながら不遜な態度が取れるあたりやはりこの人は嘘がつけないんだよなぁ。

しかもいつもの笑顔はない。

商人としてはアウト。

でも兄としては心配してるのはわかるからなんとも言えない。

中へ入ると奥からパタパタと姉様が小走りで来た。

「セイラ…!?…エラン様、このようなところまで妹を送っていただき申し訳ございません。馬が休まるまでの間、よかったら滞在なさってください。」

さすが、姉だ。兄とは違って素晴らしい笑顔と洞察力。

「すまない。謝罪するためにあがらせていただいたので、長居はしない。申し訳なかった。」

エラン様は姉様より5センチほど背が高いがまるで姉より低いかのように小さくなって謝っていた。

それを見て兄はぎょっとしていた。

そして、姉様と私を交互に見ていた。

その様子をエラン様は頭をたれていたのでみていない。

姉様は兄様をキッと一瞬睨んでシッシッとした。

これは商売をするときに兄は素直すぎて役目がないよという意味合いの時もする仕草なので希に見ることがある。

兄は今回は少し戸惑いながら奥へ戻っていった。

「頭をおあげください、エラン様。さ、こちらでお茶でもどうぞ。」

姉様はエラン様を応接室に通した。

姉様はチラッと私を見てダイニングの方を指差した。

小さく頷いて見せ、すぐにダイニングに行った。


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