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能力の名はサンドボックス  作者: soumamumu
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食いしん坊の少年

 それからしばらくして再び軍が護送車にシーツ程度の布をたくさん積んで来て、奴隷だった人たちを運んでいった。


かなり日が傾いてきていた。

空は綺麗なオレンジ色になって、7の鐘が鳴った。

6時の周回馬車行っちゃったな。


「ごめんね。セイラちゃんの能力の確認に来たはずなのにね。」

エラン様は申し訳なさそうにしているが、立派だ。

「私の方こそすみません。呑気に『サトウキビ』見つけてはしゃいでました。」

恥ずかしくて穴があったら入りたい。


あ!

あそこに掘った穴がありますね!


「サトーキビ?それは何に使えるの?」

私が鉄と石炭を掘った穴を見つめているとエラン様のテンションが上がった。

こっちの名前はわからないけど、その名も砂糖が作れます。

しかも紙も作ることもできます。

そのまま食べてもオッケーです。

すごい植物、それがサトウキビ。

「『サトウキビ』は砂糖とか紙の原料になる植物ですよ。」

「砂糖と紙!?」

めっちゃ食いぎみに来た。


そして、顔が近い!

やめて!

やっとイケメンにも慣れてきたけどそれは反則!

「ま、まだ試してないですけど、恐らくできますよ。やりますか?」

私は手で制しながら告げると何度も頷くエラン様。

子供みたい

って、日本なら子供なんだよな15歳って。


私は作業台のところへ行き、展開し36個あったうちの4つを砂糖と紙に加工した。

砂糖は1つで紙は3つでできる。

セオリー通りだ。

私はその二つを作業台の横のチェストに入れた。

ついでにサトウキビと前に採れていた桃そしてパン1つずつを入れる。

そして、コンバート。

私はチェストからそれらのキューブを取り出した。

机のところに行くと、まず、サトウキビ、桃、パンを置き、紙を置いて顕現したのを見てからその紙の上に砂糖を置いた。

そこには実際にそれらがある。

不思議だ。

「これは…これがサトーキビ?」

そう言ってエラン様がつかんだのは桃だった。

あ、そっか。こっちの世界で桃を見たことないや。

プラムのようなのは見たことあるけど、これまるっきり白桃だもの。

「違います。これは『桃』です。『サトウキビ』はこっちです。で、これから採れた砂糖と紙。能力で作ったパンです。」

私がそれらを示すと桃とサトウキビを持ってそれらをまじまじと見た。

桃を一旦置くと躊躇いなく砂糖をつまんで口に入れた。

後ろの方で木が揺れた。

フィーとヨーのどちらかが一瞬動いたみたい。

エラン様を見ると目がキラキラと輝いている。

甘いの好きなのかな?

「ただの太いアシのように見えるねぇ。ところで、このパンはずいぶん綺麗な色をしてる。そして、このモモ!いい匂い!」

「周回馬車も終わりましたし、このパンと桃食べてから帰りましょうか。」

私は無表情にそう言うと、しまったという感情と食べたいという感情が混じった複雑な表情をしていた。


私の方が10歳で身長も低いのにエラン様は探求心が旺盛で子供っぽい。

少しの間の後エラン様はハッとした。

「帰るのは私が馬でお送りしよう。ということで、食べよう!」

「え?あ…はい。」

馬はセイラが小さい頃に兄様が乗せてくれたことがあったかな。

お尻が痛くなった記憶がある。

もちろん日本人の記憶を取り戻す前だ。

エラン様が桃にナイフを入れようとして苦労してる。

「あ、エラン様、それは私がやります。」

エラン様から桃とナイフを受け取ると皮を剥いて切ろうとして、皿がないことに気がついた。


キョロキョロしてたらエラン様がバックから空の弁当を出した。

「これでいい?」

「ありがとうございます。」

中には葉っぱがあったので、その中に切って入れていった。

最後に大きな種が残った。

種も弁当箱の端に入れておいた。

エラン様にナイフを返そうとして手がベトベトなのに気がついた。

なにげに手を洗えるところがないのよね。

「水いるかい?」

と、エラン様が言うので見たら右手の人差し指を立てた先にテニスボールくらいの水が浮いていた。


これが水魔法か…


と呆然としてしまった。

「あ、ではお願いします。」

私がナイフの歯をこちらに向けて下に差し出すとそこに水を流してくれたのでナイフと手を洗った。


エラン様の机の側にそっとナイフを置いてバックからハンカチを出して手を拭いた。

エラン様はナイフを手持ちのハンカチで拭いてしまっていた。

エラン様を見てたら気がついたら桃を口に入れていた。

別に毒でもないけど、やはり後ろの木からガサガサっと音がした。

「う…」

エラン様が唸った。

え?まさかほんとに毒でも!?

その仕草に木の上からフィーが飛んできてヨーも現れた。


「おいしい!」


あぁ、よく日本人が冗談でやるのを地でやりよった。


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