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記憶にある道なのだけど、映像で見るのと実際に行くのでは差があるレベルで違っていた。
主に振動が。
振動のせいで体感だと時速40キロ程度で一時間くらい乗っていた気がするが、たぶん10キロくらいで30分未満の距離ってとこだろうか?
えっと、5キロ…いや、4キロくらいかな?
いや、もっと短いかな。
目印になる城が出発してすぐに見えだして、意外と近いなと思った。
道のりは段々家や建物が増えていくような感じで、最終的には領主の城が見える城下町の近くの壁の外に学校がある。
城壁は城を囲う一の城壁、領主に仕える者や魔力持ちが住まう貴族街がある二の城壁
富豪層が住まう三の城壁があり、それ以降は領地の道沿いに関が設けられている。
つまり私達は領主のしつらえた壁の外側の住人ってわけ。
私の家は最近力をつけてきた商人の家なので、三の城壁内に居を移してみたいと言っている。
農家が立ち並ぶ南側の集落で唯一大きな市を開ける商家だから三の城壁内に居を移してしまうとこのあたりの皆は困ると思うんだけどね。
たぶんただの憧れなんだと思う。
今の状況を嫌う気配はないから。
私達の住むあたりはそれほど城下から離れていないから別に不便はないし、そこそこ農地があってのどかで過ごしやすいということがわかった。
雰囲気的には日本でいうと、皇帝が住んでるのは東京で、私らの領地は愛知あたりで名古屋市の外側…くらいな感じ。
まぁ、文化レベルはかなり下だけど。
あと地図で言えばサイファ帝国はフランスのような形と大きさの国のようなので、ほぼ中央に皇帝直轄地があって、その南側に私達の住む領地がある。
えっと名前はコアナキアだったかな。
コアナキア領は温暖で農業に適した土地だ。
だが、その南には隣国があり、侵略の危険性も多少はあるらしいけど。
つまり私達の集落からさらに南に行くと外国ってこと。
セイラの記憶をたどり、この世界のことを考えながら学校についた。
思い出そうと思えば容易に頭に浮かんでくるけど、若いせいか、深く考えない性格なのか、この世界のことは身の回りのことしか探り出せない。
もどかしい。
とりあえず、学校で確認してみよう。
図書館が…うん?図書館ってあったっけ?
そういえば、本ってあんまり見ないかも。
本って貴重なのかな…。
紙は見るには見るけど、普段勉強に使ってるのは黒板みたいな板と木の板ばかりかも…
あとは先生が使う魔道具。
もしかして、紙って貴重なのかな。
そんなことを考えながらアリンに続いて教室に向かう。
教室に入るとクラスの子達がわっと寄ってきた。
「セイラ!もういいの?」
「心配したんだよ!」
女の子ばっかり。
そもそもこのクラスは女子が多いけど、どうやらセイラは女子ウケがいいらしい。
たぶん、男勝りの女子で、宝塚の男役のようなポジションらしい。
アリンは普通に親友って感じだけど…。
えっと…この赤髪でメガネの子はミラ、男子に瓶底メガネなのをからかわれてるのを助けたら懐かれた。
こっちの水色の髪の小さい子はレノ、この子も男子にチビってからかわれてるのを助け…以下省略。
あー、なるほどね。
負けず嫌いで、正義感も強くて、下手に身体能力が高いから男子に喧嘩売ってその上、勝っちゃうのか。
髪も邪魔だからって周囲の状況からするとレアなほど結構短めだし、憧れられても仕方ないな。
宝塚っぽいこと言っとけば喜んでくれるかな。
「ごめんね、心配させちゃって。もう大丈夫だよ。みんなの顔見たらすごく元気出たよ。」
こんなものかな?
ミラもレノも他の子もキラキラした目で見てくる。
正解かな。
でも一人だけ怪訝な顔してる。
アリンだ。
えー…このセリフ不正解だったのー?
もっとあっけらかんとした感じだったのかな。
他の子に比べてアリンはセイラの馬鹿っぽさをよく知ってるから違和感があるのかも。
そんなこんなでクラスメイトと話していると先生が入ってきた。
先生は初老でおじいちゃんというには若いけど、おじさんというよりはおじいちゃんという感じ。
ってか、髪はほぼ無くて白髪だし、皺も多いし、ひげもちょび髭みたいのが生えてるけど、背筋のばしてピンとしてるんだよね。
みんなオルドナー先生って呼んでる。
「おはよう。セイラさん、無事で何よりです。さ!授業の時間ですよ!」
オルドナー先生の号令で席につく。
よかった。
ちゃんと席の場所わかった。




