平和ボケしていたセイラ
「セイラちゃん!」
エラン様のその声ではっと我に返った。
「私は奥に他に人がいないか見てくる。この結界を開いてれば大丈夫そうだけどここら辺で待ていられる?」
私はよく考えられない頭で一つ頷くしかできなかった。一人にしないで欲しかったがしょうがない。
エラン様は私を気にしながらも奥に走り去っていく。
ピョンピョンと枝に飛び乗っていったりぶら下がったりしてあっという間に見えなくなったのを見て
「すごい身体能力」
と声が出たのをきっかけに少し肩の力が抜けた。
私は自分の後ろあたりの草木をマコトちゃんに除去させることにした
ほぼ、現実逃避だ。
目の前の靄に包まれた人と倒れた人を見ていたくなかった。
生きているとしても襲いかかられても困るし、といっても紐も持ってないし治療する道具も持ってないし…。
私、サイコパスですか?
さっきまでのサンドボックスの能力で得意気になってた気持ちはあっという間に暗い気持ちに覆われていた。
雑草を除去したところで奥からエラン様が返ってきた。
「セイラちゃん!大丈夫?もう結界解いてもいいよ。」
エラン様は私のいる壁に手を当てて心配そうにこちらを見た。
私は画面のコンバートを押して魔力の一部が返ってくる。
その途端に体の力が抜けた。
ーバッ!
エラン様が私の体を支えてくれてその場に膝をついていた。
「怖い思いさせてごめんね。」
そう言ったのはエラン様だった。
その胸に抱き寄せられて温もりが伝わってきた瞬間にワッと涙か溢れてきた。
「怖かった!怖かったよー!」
私は小さな子供のようにわんわん泣いた。
エラン様は
私が泣き止むまで抱き締めて頭をナデナデしてくれてた。
泣き止む頃には恥ずかしくて死にそうだった。
そして、泣いてスッキリしてやっと周りを見てみると結界内にいたらしき人達はうんうんと唸って地面に転がっていた。
皆悪夢にうなされているような感じで寝ているようだ。
私はホッとした。
さらに結界の外だった人たちを見てみるとほとんどの人から血が流れていないのがわかった。
「あの生きてます?」
私は恐る恐るエラン様に聞くと
「たぶん。弱そうなのは顎狙って柄で殴ったから運が悪くなければ気絶してるだけ。顎は骨折してるかもね」
うわー。エグい。
いわゆる脳震盪を起こさせたのか。
途端にエラン様が怖くなった。
味方なら頼もしい限りだけど。
こんだけ強ければ護衛もつけずに出歩けるわ。
と思ったら門の方に人の気配を感じた。
はっと振り替えると兵士らしき人が二人跪いていた。
「遅いぞ」
エランが言うと一人はエラン様を見て言った。
「エラン様には傷一つつかない低俗だと思いましたので、見守らさせていただきました。」
とニコッと笑った。
もう一人は私に笑いかけている。
どういうこと?
「う…確かに彼女は私が守るとは言ったが…」
エラン様は頭を抱えていた。
「では、軍に知らせて参ります。」
最初に口を開いた人が立ち上がりすっと消えた。
まるでアニメの中の忍者のような動きで消えた。
私には見えなかった。
「縛れそうなものがあっちの建物にあった、フィーはこいつらを縛り上げといてくれ。」
エラン様がそう言うとそのフィーと言われた人が頷いて走っていった。
エラン様がさっき行ったときのように跳ねるように走っていく。
「すまない。実はずっと護衛はついてるんだが、隠密行動させてるのでずっと影から見られているんだよ。さっきのはフィー。知らせに行ったのがヨーだ。本名ではないがそう呼んでくれ。おそらくこれからは定期的に姿を現すだろう。」
「そう、だったんですね。なんで護衛ついてないんだろうとずっと思ってました。」
ってことは一の壁の中でもずっと見られてたのか?
「アハハ、セイラちゃんはやっぱり不思議に思ってたんだね。普通の庶民は護衛がいることはないから護衛つけて歩いてるだけで目立つからねぇ。」
その言葉を聞き終わる前にフィーは帰ってきた。
私達をチラッと見るとすぐに賊たちを縛り上げていく。
一通り手首と足をしばり終わると門の側に並べていく。
人を簡単に持ち上げて運んでいる。
力持ちー!
「うわー、なんだー!?」
そう言ったのは今持ち上げられた私が倒したあとうなされていた人だった。
どうやら目を覚ましたらしい。
ジタバタとしているがフィーはものともせず他のものと同じように並べていく。
「おい!なんだこれ!」
「ほどけー」
「う!動けない」
すぐに他の者も続々と目を覚ましたらしい。




